2025/10/09
こんにちは!
世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です🌳
今回は中高齢期のわんちゃんに見られることのある病気である「乳腺腫瘍」についてお話したいとおもいます。
犬の乳腺腫瘍とは?
犬の乳腺腫瘍は、特に避妊手術を受けていない中~高齢(7〜13歳頃)の雌犬に多くみられる腫瘍です。
猫の乳腺腫瘍は悪性が多いことで知られていますが、犬では 約半分が良性腫瘍 とされており、悪性であっても転移(肺やリンパ節などに広がる)が見られるのはその中の半数程度といわれています。
ただし、良性腫瘍でも放置すると悪性化する可能性があるため、長期間の放置はおすすめできません。
また、初回発情前に避妊手術を行うと、その後の乳腺腫瘍の発生率は 0.5% にまで下がることが知られています。
発情を迎える回数が増えると予防効果は減少し、4歳を過ぎてからの避妊手術では予防効果はほとんどないとされています。
どんな症状が見られるの?
- お腹や胸に「しこり」ができる
- 硬いこぶのように触れる
- 腫瘍の部分が赤くなったり、腫れている
- 以前からあったしこりが急に大きくなる
犬の乳腺は左右5対、合計10個あります。
特に後ろの乳腺(第4~5乳腺)にできやすく、複数の乳腺に同時に発生することも珍しくありません。
診断方法
乳腺にしこりを見つけたら、獣医師による診断が必要です。
- 触診:しこりの数や大きさを確認します
- 細胞診(FNA):針で細胞を取って顕微鏡で調べる
- 画像検査(X線・超音波):転移の有無をチェックする
- リンパ節の確認:腋の下やそけい部のリンパ節に広がっていないか調べます
また、未避妊の雌犬では子宮や卵巣の状態も超音波検査で確認することがあります。
治療について
犬の乳腺腫瘍の治療は 外科手術が第一選択 です。
外科手術
- 腫瘍だけを取る
- 腫瘍のある乳腺だけを取る
- 片側全て、または両側の乳腺をまとめて取る
腫瘍の数や場所、大きさ、年齢や体調によって最適な術式が選ばれます。
再発や新しい腫瘍を防ぐために、広めに切除する場合もあります。
化学療法(抗がん剤)
犬の乳腺腫瘍では、猫と比べると抗がん剤の効果ははっきりしていません。
ただし、転移がある場合や腫瘍の悪性度が高い場合には、抗がん剤が検討されることもあります。
予後(治療後の見通し)
犬の乳腺腫瘍は、早期に手術することで良好な経過をたどる症例が多い とされています。
ただし、以下のような場合は予後が悪化する傾向があります。
- 腫瘍の大きさが5cmを超える
- 6カ月以上放置していた
- リンパ節や肺などに転移している
平均生存期間は、転移がない場合で19~24カ月以上、転移がある場合で8~17カ月程度と報告されています。
飼い主さんへのアドバイス
- お腹や胸をなでるときに「しこり」がないかチェックしましょう
- しこりを見つけたら 早めに動物病院へ
- 良性でも悪性に変化することがあるため、「様子を見る」ではなく診断が大切です
- 避妊手術は発情前に行うことで、乳腺腫瘍の予防に大きな効果があります
まとめ
犬の乳腺腫瘍は珍しい病気ではなく、特に避妊していない中~高齢の雌犬では注意が必要です。
良性でも悪性でも放置せず、早期発見・早期治療で犬の健康と生活の質を守ることができます。
少しでもおかしいな?と思ったら動物病院へ診察にぜひいらしてください。
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