高ナトリウム血症について

こんにちは!世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です🌳

 

 

犬・猫の高ナトリウム血症とは?原因・症状・予防について

日頃の血液検査で「ナトリウムが高いですね」と言われたとき、あるいは、急にふらつき痙攣などの異変が出たとき、大きな不安を感じると思います。

その中でも、放置すると短時間で重篤化する電解質異常のひとつ高ナトリウム血症です。

高ナトリウム血症は、血中ナトリウム濃度が正常範囲を超えて上昇し、体の水分バランス、特に脳への影響が強く現れます。

急性に進行すると命に関わる危険性 があるため、早期発見・早期治療が重要です。

今回はそんな高ナトリウム血症の基礎知識、よくある原因、注意すべき症状、診断方法、治療、予防策などについてご紹介します!

 

 

高ナトリウム血症とは?

血中ナトリウム濃度が一般的に155〜160 mEq/L を超えると“高ナトリウム血症” とよびます。

ナトリウムは体液のバランス神経伝達筋肉の働きに欠かせない電解質ですが、濃度が上がりすぎると細胞から水分が奪われ、特に脳細胞が縮むことで神経症状が現れやすいという特徴があります。

 

 

原因

ナトリウムが高くなる原因は、大きく 「水の喪失」・「排泄障害」 などが挙げられます。

水分の喪失(最も多い原因)

水だけが失われてしまい、ナトリウムが相対的に濃くなる”パターンです。

  • 激しい下痢嘔吐
  • 熱中症
  • 糖尿病・腎疾患による多尿
  • 利尿薬の過剰使用
  • 飲水不足

特に猫は元々あまり水を飲まないため、日常的な軽い脱水が重なって発症するケースもあります。

ナトリウム排泄の障害(腎・内分泌の異常)

体がナトリウムを排泄する能力が落ちているケースです。

  • 原発性アルドステロン症
  • 慢性腎疾患
  • ステロイドの長期投与
  • 抗利尿ホルモンの異常

これらはゆっくり進行し、何度かの血液検査で徐々にナトリウムが上がってくることで判明することもあります。

 

 

高ナトリウム血症の症状

症状はナトリウムの上昇スピードによって大きく異なります。

急性発症ほど重い神経症状が出ます。

軽度〜中等度

  • 多飲多尿
  • 食欲低下
  • 落ち着きがない
  • 脱水
  • ふらつき

軽度でも放置すると急激に悪化することがあるため注意が必要です。

重度(緊急症状)

  • 痙攣
  • 震え
  • 意識がぼんやりする反応が鈍い
  • 倒れる
  • 昏睡
  • 高体温
  • 呼吸が不規則

ここまで進行すると、数時間単位で命の危険がある状態です。

すぐに治療を受ける必要があります。

 

 

診断方法

高ナトリウム血症は、血液検査で確認ができます。

しかし、「ナトリウムが高い」という結果以上に大事なのは、原因の特定です。

血液検査(電解質の評価)

  • ナトリウム値(Na)
  • クロール値(Cl)
  • カリウム値(K)
  • 腎機能(BUN・Cre)
  • 血糖値(GLU)
  • ホルモン検査(必要時)

電解質の値の比率は、原因のヒントになります。

尿検査

  • 尿比重(濃縮機能の評価)
  • 糖尿病腎疾患のチェック

画像検査(X線・エコー)

  • 腎臓副腎の異常
  • 胃腸疾患の有無

詳細な問診

  • どのくらい水を飲んでいるか
  • 下痢嘔吐が続いていないか
  • 投薬歴(ステロイド・利尿薬など)

診断精度を決めるのは「生活状況の情報」なので、可能な限り詳しく教えていただけると正確な判断につながります

 

 

治療

点滴治療

    原因別の治療

    痙攣や神経症状への対処

    などが挙げられます

       

       

      予後

      予後は以下の要素で大きく変わります。

      • ナトリウム値の高さ
      • 痙攣意識障害の有無
      • 発症から治療開始までの時間
      • 基礎疾患(腎臓病ホルモン疾患)の有無

      急性で早期に治療できれば回復率は高いですが、重度の神経症状を伴う場合は慎重な経過が必要です。

       

       

      予防策

      高ナトリウム血症の多くは、飼い主様の少しの工夫で防ぐことができます。

      十分な飲水量を確保する

      • 水皿の数を増やす
      • こまめに水を交換猫には循環式給水器などが効果的)

      持病がある子は定期検査がおすすめ

      • 腎臓病
      • ホルモン疾患
      • 利尿薬ステロイドの長期投与

      これらは電解質異常のリスクが高いのため、

      定期的な血液検査が非常に重要です。

       

       

      まとめ

      高ナトリウム血症は、

      短時間で重篤化する可能性がある危険な電解質異常です。

      • 激しい嘔吐・下痢
      • 脱水
      • 持病の悪化
      • 飲水不足

      などが重なると、急性に進行し、痙攣意識障害を引き起こすことがあります。

      しかし、

      早期に気づき、適切な治療を受けられれば、多くの症例で改善が期待できます

      もし水の飲み方がいつもと違う、ふらつく、元気がない、などの普段と違うサインがあればお早めにご相談ください!

       

       

       

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