2024/11/27
デスメ膜瘤とは
デスメ膜瘤(Descemetocele)は、角膜の深い部分に位置する「デスメ膜」が突出する状態を指します。この状態は、角膜潰瘍が進行して角膜の組織が失われた結果として発生します。犬や猫の眼の健康において、デスメ膜瘤は非常に緊急性の高い状態であり、適切な治療を迅速に行わないと失明につながる可能性があります。
犬と猫の角膜の構造
角膜は、目の最前部を覆う透明な膜であり、以下の層から構成されています:
- 角膜上皮: 最も外側の層で、涙液で保護されています。
- 角膜実質: 角膜の大部分を占める層。
- デスメ膜: 角膜の最も深い部分の基底膜で、強く弾性があります。
- 角膜内皮: 最も内側の細胞層。
角膜の上皮と実質が失われデスメ膜瘤が発生すると、デスメ膜が突出し、角膜全体の強度が著しく低下します。この状態は角膜穿孔(角膜に穴が開くこと)に進行するリスクが非常に高いため、早急な対応が必要です。
デスメ膜瘤の原因
デスメ膜瘤の主な原因として、以下のようなものが挙げられます:
- 重度の角膜潰瘍
- 細菌や真菌、ウイルス感染(特に猫ではヘルペスウイルスが関与することが多い)によるもの。
- 外傷(例: 引っかき傷や異物の刺入)。
- 慢性的な眼病
- ドライアイ(乾性角結膜炎)により角膜が適切に保護されない場合。
- 物理的刺激
- 逆さまつげや異常なまぶたの形状(眼瞼内反など)が角膜を傷つける。
- 免疫介在性疾患
- 自己免疫反応が角膜組織を破壊する場合。
犬と猫の症状
デスメ膜瘤を疑う症状には以下があります:
犬の場合
- 強い痛みのために頻繁に眼をこする。
- 涙が増加し、眼の周りが湿っている。
- 角膜が灰色または白濁し、デスメ膜瘤が黒く見えることもある。
- 眼を閉じたままにする(眼瞼痙攣)。
- 食欲不振や元気の低下。
猫の場合
- 痛みを感じるが、犬ほどはっきりとした行動を見せないことがある。
- 眼の表面が曇って見える。
- ヘルペスウイルス感染に関連する結膜炎や鼻水などの症状が併発することが多い。
診断方法
動物病院では、以下のような方法で診断を行います:
- 視診と触診
- 獣医師が眼を観察し、角膜の異常を確認します。
- フルオレセイン染色検査
- 角膜の損傷を確認するために、染料を用いた検査を行います。。
- 眼圧測定
- 角膜の損傷が眼球全体に影響を及ぼしているかを確認します。
治療法
デスメ膜瘤は非常に重篤な状態であるため、治療は迅速かつ集中的に行う必要があります。
1. 薬物療法
- 抗生物質点眼薬・内服薬
細菌感染を抑えるために使用されます。 - 角膜保護剤
角膜を潤滑し、保護します。
2. 外科的治療
薬物療法では改善が見られない場合、または角膜が穿孔寸前の場合は、外科的手術が必要です。
予後とケア
治療の成功率は早期発見と迅速な対応に大きく依存します。治療後は、以下のようなケアが必要です:
- 定期的な診察
治療後も目の状態を定期的にチェックする必要があります。 - 保護用エリザベスカラーの使用
患部を引っ掻かないようにするため、エリザベスカラーを装着します。 - 目薬の継続使用
角膜の回復を促進するために、獣医師の指示に従って点眼を続けます。
予防策
- 定期的な健康診断
早期に眼の異常を発見するために、定期的な動物病院での診察を受けましょう。 - 目の保護
外傷や異物のリスクを減らすため、散歩時の環境に注意します。 - 眼疾患の早期治療
軽度の角膜潰瘍であっても放置せず、早めに治療を受けることが重要です。
まとめ
デスメ膜瘤は犬や猫にとって非常に深刻な状態ですが、適切な治療を迅速に行うことで視覚を維持できる可能性があります。早期発見と予防が何よりも大切ですので、眼に少しでも異常を感じたらすぐに動物病院に相談してください。
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