2025/05/27
こんにちは!世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です🌳
「うちの子の歯が欠けているかも…」
「おもちゃを噛んだあとから、食べ方が変わった気がする…」
そんな飼い主さんの不安、もしかすると「複雑歯冠破折(ふくざつしかんはせつ)」が原因かもしれません。
この言葉を初めて聞く方も多いと思いますが、放っておくと痛みや感染の原因になる、非常に重要な歯のトラブルです。
今回は、複雑歯冠破折とはどんな状態か、どうやって起きるのかについてお話します。
「複雑歯冠破折」とは?
まず「歯冠破折(しかんはせつ)」とは、文字通り歯の冠(見えている部分)が割れたり欠けたりすることです。
その中でも「複雑歯冠破折」と呼ばれるのは、歯の表面だけでなく、内部の「神経(歯髄)」にまで達してしまった状態のことを指します。
歯の内部には、神経や血管が通っていて、そこが露出すると非常に痛みが強く、感染のリスクも高くなります。
つまり、ただの「歯が欠けた」では済まされない、治療が必要な状態なのです。
なぜ歯が折れるの?
犬や猫の歯が折れる原因には、以下のようなものがあります。
硬いものを噛む
実はこれが最も多い原因です。
硬すぎるガム、ヒヅメ、鹿の角、石、金属製のおもちゃなどは、噛むことで歯に大きな力がかかり、折れてしまうことがあります。
特に犬では、上の奥歯(第4前臼歯)や犬歯(キバ)が折れやすいです。
外からの衝撃
転倒やぶつけた時、喧嘩や事故などによって、口の中に強い衝撃が加わると歯が折れることがあります。
猫でも落下や高いところから飛び降りた拍子に、前歯や犬歯が折れてしまうことがあります。
噛み合わせや歯並びの問題
歯が正常に並んでいないと、一部の歯に負担がかかり、破折を起こしやすくなることがあります。
治療について
歯が割れて、露髄(歯の神経や血管が出てしまっている状態)が見られた場合、感染や壊死が起きる可能性があります。
その場合は歯の神経を抜いて詰め物をする治療や、歯を抜く治療を行います。
飼い主さんが気づけるサインは?
複雑歯冠破折が起きても、ワンちゃんやネコちゃんは我慢して痛みを見せないことがほとんどです。
ですが、以下のような変化が見られる場合は要注意です。
歯の見た目に変化がある
- 歯が欠けてギザギザしている
- 歯の先端に黒や赤い点がある(神経の露出)
- 歯の色が変わった(茶色や灰色)
食べ方や行動の変化
- ごはんを片側でしか噛まない
- 硬いおやつを食べなくなった
- 口元を前足でこすったり、触られるのを嫌がる
- よだれが増えた
このようなサインに気づいたら、まずは動物病院にご相談ください。
見た目に異常がなくても、歯の内部ではトラブルが進行していることもあります。
放っておいてはいけない理由
複雑歯冠破折を放置すると、神経がむき出しのままになるため、そこから細菌が入り込み、歯の根や骨にまで炎症が広がる可能性があります。
炎症が進行すれば、顔の腫れや膿の排出、慢性的な痛みが起こることもあります。
そして、これらは見た目では分かりにくく、歯のレントゲン検査や口腔内の詳しい診察が必要です。
よくある誤解
飼い主さんからよくある誤解が、「歯が欠けても、痛がってないから大丈夫ですよね?」というものです。
でも実際は、動物は痛みを隠すのがとても上手。
少しずつ食べ方が変わっていたり、元気がなかったりといった微妙な変化でしか現れないことが多いのです。
特に猫は、痛みのサインをほとんど見せないまま、重度の状態になってから気づかれるケースが少なくありません。
早期発見・予防のポイント
複雑歯冠破折を完全に防ぐことは難しいですが、リスクを下げるための工夫や、早期発見のコツがあります。
避けた方がよいおもちゃ・おやつ
「自分の爪で押してもへこまない硬さのもの」は、歯を折る可能性があります。
具体的には:
- ヒヅメ
- 鹿の角
- 石や金属製のおもちゃ
- 硬すぎるドライガム など
こうしたものはなるべく避け、歯にやさしいおもちゃやおやつを選ぶことが大切です。
日常的な歯のチェック
毎日でなくても、週に1〜2回、歯と歯ぐきをチェックする習慣をつけましょう。
見た目の変化や口臭など、小さなサインに早く気づくことができます。
定期的な歯科検診
年1回以上の健康診断に加えて、歯の専門的なチェックも受けておくことで、早期発見につながります。
特にシニア期に入った犬猫では、歯周病など歯のトラブルが増えてくるためおすすめです。
まとめ
「歯が折れたかも…」と思ったときに、
「そのままで大丈夫」と思わずに、ぜひ一度ご相談ください。
複雑歯冠破折は、見た目ではわかりにくいですが、進行するとつらい病気につながる歯のトラブルです。
早めに対応すれば、痛みや不快感から早く解放してあげることができます。
大切な家族の健康を守るために、お口の中の小さな変化にも、目を向けてあげてください。
東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、歯でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。
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けいこくの森動物病院 世田谷犬猫歯科
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