2025/06/14
こんにちは！世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です。
今回は食欲低下やごはんが食べづらそうな様子、よだれや出血がみられるなどの症状がみられる口腔内の「線維肉腫」についてご紹介します！
犬・猫の「口腔内線維肉腫」とは？見逃されやすい口のがん、その正体と治療法
「最近、ごはんを食べづらそうにしている」「片側のほっぺが腫れてる気がする」
このような変化に、“年のせいかな？”と様子を見ていませんか？
実はそれ、“口のがん”である可能性があります。
中でも「口腔内線維肉腫（こうくうないせんいにくしゅ）」という腫瘍は、初期に痛みが少なく、見逃されやすいがんのひとつです。
線維肉腫ってどんな腫瘍？
繊維肉腫は、線維芽細胞（コラーゲンを作る細胞）が異常増殖してできる悪性腫瘍です。
犬・猫どちらにも発生しますが、特に高齢での発生率が高いとされています。
● 口腔内での特徴
- 歯茎（歯肉）、上顎・下顎、口の裏側の粘膜などにできやすい(特に上顎部が最も多い)
- 骨へ浸潤しやすい
- 周囲の組織を押しのけて広がる（局所浸潤性が強い）
- 遠隔転移は比較的まれ
つまり、「広がりやすいけれど、他の臓器には飛びにくい」腫瘍です。
だからこそ、早期の外科的対応が極めて重要なのです。
線維肉腫ができたときのサイン
口腔内の線維肉腫は、一見して気づきにくいのが大きな問題です。
多くの飼い主さんが最初に感じる違和感は、こんなサインです。
● 初期の兆候
- 食べる量が少し減った
- 片側だけで噛んでいる
- 口臭が以前より強くなった
- よだれが増えた（とくに血が混じっている）
- 食べるときに顔を傾ける
● 進行すると
- 口の片側が腫れて見える
- 鼻血（特に片方）やくしゃみ
- 顎が変形してくる
- 強い口臭や出血
- 食べること自体を嫌がる
犬・猫は、相当痛くても我慢する動物です。だからこそ、“なんとなくおかしい”と思ったら早めの受診が肝心です。
どうやって診断するの？
動物の口腔内の腫瘍は、見た目だけでは悪性かどうかは判断できません。
正確な診断には以下の検査が必要です。
● 診察（視診・触診）
- 腫瘍の位置、大きさ、出血の有無をチェック
- 顎の変形や腫れも観察
● 画像診断
- 歯科X線検査(歯科レントゲン検査)：骨への浸潤を確認(麻酔下)
- CT検査：切除範囲の評価に有効(他院へ紹介で実施)
- 胸部レントゲン：肺転移の確認
● 生検（バイオプシー）
腫瘍組織を少し採取し、病理検査で腫瘍の種類と悪性度を確定します。
治療の第一選択は「外科手術」
● なぜ手術が第一選択？
線維肉腫は、抗がん剤や放射線にあまり反応しない腫瘍です。
そのため、“完全切除”できるかどうかが予後を大きく左右します。
切除が不十分だと、数ヶ月以内に再発する可能性が非常に高くなります。
● どんな手術が必要？
- 腫瘍の大きさや位置によっては顎の骨を含めた大きな切除が必要になることもあります。
- 上顎骨部分切除術や下顎骨切除術といった高度な外科手術になる場合もあります。
術後の見た目の変化や食事のサポートなど、不安な点が多いかもしれません。
しかし、命を救うための選択肢として、手術が最も確実な治療です。
術後の管理と再発リスク
線維肉腫は、再発しやすい腫瘍です。だからこそ、術後のモニタリングが非常に重要です。
● 術後に気をつけたいこと
- 定期的な口腔内チェック（自宅＋病院）
- 食事のサポート（柔らかい食事、こまめな給餌など）
- 術後3～6ヶ月の間は、特に再発しやすい時期
● 再発した場合
再手術が可能であれば、再度の切除を検討します。
難しい場合は、緩和ケア（疼痛管理、食欲サポート）が中心になります。
まとめ ：一番大切なのは「早期発見」
線維肉腫は、進行が早いのに気づかれにくい“静かな腫瘍”です。
でも、早い段階で見つけて、適切に治療できれば、生活の質(QOL)を維持したまま過ごすことも可能です。
✔ こんな時は、すぐご相談ください
- 口臭が急に強くなった
- ごはんの食べ方が変わった
- 片側だけで噛んでいる
- よだれに血が混じっている
- 口にしこりがあるように感じる
「歳だから仕方ない」ではなく、“変だな”と思ったその時が、受診のタイミングです。
何かあてはまること、気になることなどございましたらお気軽にご相談ください！
東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、歯でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。
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けいこくの森動物病院 世田谷犬猫歯科
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