子犬のときから心雑音がある……心房中隔欠損症かも⁈

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こんにちは! 世田谷区等々力のけいこくの森動物病院です🌳

今回は先天性心疾患の一つである心房中隔欠損症についてお話しします。

 

犬や猫にもある「心房中隔欠損症(ASD)」とは

心房中隔欠損症(ASD)とは、心臓の右心房と左心房の間にある壁(心房中隔)に穴が開いている先天性の異常です。

本来は生まれたときに閉じているべき部分が開いたままで、そこから血液が本来とは異なる方向に流れてしまう病気です。

 

どんな問題が起きるの?

左心房から右心房に血液が漏れることで、以下のような問題が起こります。

右心房や右心室への負担増加

肺への過剰な血流 → 肺高血圧

心臓全体の拡大(心拡大)

うっ血性心不全

穴が小さい場合は無症状のまま一生を過ごすこともありますが、中〜重度の欠損があると命に関わる心疾患に進行することがあります。

また、はじめは左心房から右心房の方向に漏れていたのが、病態が進行し右心房圧が高くなると、右心房から左心房の方向に血液が漏れます。

この場合、右心房内の静脈血(肺で酸素化されていない血液)が左心房へ流れてしまうため、チアノーゼなどの低酸素症状を引き起こします。

 

 

原因は?

心房中隔欠損症は**先天性(生まれつき)**の疾患です。

一部の犬種(たとえば、プードル、ドーベルマンなど)では先天性心疾患の発生率がやや高いことが知られています。

猫でもまれですが発生が報告されています。

 

見られる症状は?

ASDの症状は欠損の大きさや心臓への影響の程度によって異なります。

軽度の場合

 無症状で元気に過ごすことも

中〜重度の場合

• 疲れやすい

・運動を嫌がる

• 呼吸が早い、または苦しそう

• 咳が出る • 成長不良(特に子犬や子猫)

• 失神やチアノーゼ(舌や歯茎が紫色に)

 

どうやって診断するの?

当院では、以下の検査で心房中隔欠損症の診断を行っています。

聴診

心雑音の有無を確認します。

レントゲン検査

心拡大や肺の血流の増加を評価します。

心エコー検査(超音波検査)

中隔の欠損を直接確認できる最も重要な検査です。 カラードプラ検査で血流の異常を可視化します。

心電図検査

不整脈の確認をします。

 

治療はできるの?

ASDの治療法は以下の2つに大別されます。

内科的管理

軽度または症状が出ていない場合には、定期的な心臓の検査を行いながら経過観察します。

必要に応じて心臓の負担を軽減する内服薬(強心薬、利尿薬、血管拡張薬など)を使用します。

外科的閉鎖

・カテーテル治療 

人間医療ではカテーテルを用いた閉鎖術が一般的ですが、動物では高度な技術と設備が必要です。

重度の症例では、専門の二次診療施設を紹介させていただく場合があります。

 

 

まとめ

心房中隔欠損症は先天的な心臓の異常で、見逃されやすいですが進行すると命に関わることもあります。

心臓の雑音を指摘された子や、呼吸が速い・疲れやすいと感じた子は、ぜひ一度ご相談ください。

 

 

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