2025/07/28
こんにちは🌳
けいこくの森動物病院です!
「うちの子、最近うんちがゆるくて…」「トイレの回数が多くなったような気がする」といったお悩みがある方はいらっしゃいませんか?
そんなご相談の中で、意外と多く見られるのが 「繊維反応性大腸性下痢」 というタイプの消化器トラブルです。
あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、実は 食物繊維の量や種類を調整することで改善が期待できる 比較的良性の疾患です。
今回は、「繊維反応性大腸性下痢」についてわかりやすくご説明したいとおもいます!
大腸性下痢とは?
下痢には「小腸性」と「大腸性」の2種類があります。
それぞれ特徴が異なり、診断や治療方針にも違いが出てきます。
分類 |
小腸性下痢 |
大腸性下痢 |
便の量 |
多い |
少ない |
頻度 |
1日に1〜3回 |
1日に4回以上 |
便の色 |
黒っぽい便 |
鮮血が混じり赤い便のことも |
粘液 |
出にくい |
出やすい |
吐き気•体重減少 |
起こりやすい |
あまり見られない |
「繊維反応性大腸性下痢」は、名前の通り 大腸が関係する下痢 であり、便の回数が多く、軟便~水様便、粘液便などが続きます。ですが、 元気や食欲がある程度保たれていることが多く、飼い主さんから見ると「元気そうなのに便だけおかしい…」と感じられることも多いです。
【他の下痢症状-関連リンクはこちらから!】
ご飯の食べる量は変わらない、増えているのに体重が減っている、便に未消化物が混じっていたり慢性的に下痢をしている、もしかして膵外分泌不全かも?
長期的に嘔吐・下痢、食欲の低下やふらつきがある…それもしかしたら慢性肝炎かも?
原因は何? なぜ繊維が関係するの?
繊維反応性大腸性下痢の正確な原因は、まだ完全には解明されていませんが、次のような要因が関係していると考えられています。
- 腸内細菌叢のバランス異常
- 消化管運動の調整不全(早すぎる排便)
- 軽度の食物アレルギーや不耐性
- 大腸粘膜の過敏性や軽度の炎症
これらの要因が複合的に絡み合い、便の形成や腸の動きに影響を与えることで下痢が生じます。
どんな症状が出るの?
代表的な症状は以下の通りです。
- 軟便、あるいは水様便が1週間以上続く
- 排便回数が1日4~6回以上と多い
- 粘液が混じることがある
- 時々、便に鮮血が少量ついている
- 便意が急でトイレに間に合わないことがある(特に犬)
元気・食欲・体重が比較的保たれていることが多いのが、この病態の特徴でもあります。
どうやって診断するの?
繊維反応性大腸性下痢の診断は、「除外診断」と呼ばれる方法で進めます。
つまり、「ほかの重大な病気でないこと」を確認したうえで、この疾患を疑います。
除外するべき主な病気
- 寄生虫(ジアルジア、回虫など)
- 細菌性腸炎(カンピロバクター、大腸菌など)
- 炎症性腸疾患(IBD)
- 食物アレルギー
- 腫瘍(まれですが鑑別が必要)
- 内分泌疾患(副腎皮質機能低下症など)
検便・血液検査・レントゲン・超音波検査などを行ったうえで、重篤な疾患の可能性が低いと判断される場合、「試験的に繊維を調整した療法食を給与する」という形で診断・治療を行っていきます。
治療法は?
多くの場合、適切な食事管理だけで改善が見込まれます。
特に以下のような食事療法が有効です。
療法食(高繊維食)
- 消化しやすく、かつバランスの取れた食物繊維を含む処方食
- 水溶性:不溶性の食物繊維のバランスを考慮
- 乳酸菌などのプロバイオティクスを併用することも
その他の対応
- 整腸剤(ビオフェルミンなど)
- 食物繊維の添加(サイリウムなど)
- 一時的な抗炎症薬(必要な場合のみ)
- ストレスの軽減や生活環境の見直しも重要
早ければ 数日~1週間程度で効果が見られることも 多く、「今までの下痢はなんだったのか」と驚かれる飼い主さんも少なくありません。
治るの? 再発はある?
多くの場合、治療に良好に反応し、再発も少ない のがこの疾患の良いところです。
ただし、再発してしまうケースでは、以下のような要因が影響していることがあります。
- 誤食(人の食べ物など)
- ストレス(引っ越し、家族構成の変化)
- 療法食をやめてしまった
- ほかの疾患の併発
一度よくなっても、しばらくは定期的なチェックと食事管理を継続することをおすすめします。
まとめ:下痢は我慢させないで!
繊維反応性大腸性下痢は、命に関わるような病気ではありません。
ですが、ワンちゃん・ネコちゃんにとっては日々の生活に大きなストレスになります。
「様子を見ていたら2週間も下痢が続いてしまった…」
「市販の整腸剤を使っても良くならない」
そんな時は、ぜひ一度、動物病院にご相談ください。
「なんとなく下痢気味」の段階での受診が、ワンちゃん・ネコちゃんの健康を守る第一歩です。
東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、歯でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。
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けいこくの森動物病院 世田谷犬猫歯科
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