2025/08/28
こんにちは!
世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です🌳
今回は【 外用ステロイド薬皮膚症 】についてご説明いたします。
ステロイドの塗り薬ってどんなときに使うの?
わんちゃんやねこちゃんの皮膚に赤みやかゆみ、湿疹が出たとき、動物病院でよく処方されるのが「ステロイド外用薬」です。
ステロイドは強い抗炎症作用があり、つらいかゆみや炎症をすばやく抑えてくれるお薬です。
よくある処方の例
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アトピー性皮膚炎
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アレルギー性皮膚炎
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虫刺されによるかゆみ
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慢性的な皮膚の赤みや脱毛
ただし、この強力な効果には副作用のリスクもつきものです。
とくに、長期間・広範囲にわたって塗り続けると「外用ステロイド薬皮膚症」という皮膚の異常が起こることがあります。
外用ステロイド薬皮膚症とは?
外用ステロイド薬皮膚症とは、ステロイドの塗り薬を長く、またはたくさん使いすぎたことによって、皮膚にダメージが生じる状態です。
こんな症状が見られたら要注意!
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皮膚が薄く、ピカピカして見える(皮膚萎縮)
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毛が抜ける、または生えてこない
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毛細血管が透けて見える
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色素沈着(皮膚が黒ずんでくる)
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同じところを何度も掻く、舐める
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感染をくり返す(膿皮症、マラセチアなど)
特に「一度良くなったと思ったのに、またすぐぶり返す」というケースは、ステロイド皮膚症の可能性があります。
どうしてこんな副作用が起きるの?
ステロイドには皮膚の炎症を抑える効果がある一方で、細胞の再生やコラーゲンの生成を抑制してしまう作用もあります。
その結果
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皮膚がどんどん薄くなる
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自然な修復力が落ちる
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バリア機能が低下し、細菌や真菌に感染しやすくなる
つまり、治すために使った薬が、逆に皮膚を壊してしまうリスクがあるのです。
よくあるケース:こんなときに要注意!
ケース1:かゆみが再発するたびに同じ薬を塗っている
→ 再発の原因は別にあるかもしれません。
塗り薬で抑えているだけでは根本治療にならないことも。
ケース2:飼い主さんの判断で塗る回数や量を増やしてしまった
→ 効果が薄いからといって多めに塗るのはNGです。
ケース3:昔処方された薬を自己判断で再利用
→ 症状が似ていても、原因が違えば治療も異なります。
飼い主さんにできる予防と対策
1. 処方された通りに使う
用量・回数・期間など、獣医師の指示をしっかり守ることが第一です。
2. 症状が落ち着いた後も診察を受ける
「治ったから終わり」ではなく、再発予防や治療の見直しのためにも再診をおすすめします。
3. 皮膚の変化に早く気づく
日々のスキンシップやブラッシングのときに、皮膚の色・毛の状態・感触の違いを意識して見てあげてください。
4. 勝手に他の部位に塗らない
ステロイドは局所的に使う薬です。他の場所や他のペットに触れさせないように注意しましょう。
ステロイドをやめたらすぐ治るの?
ステロイド皮膚症は、薬を中止しただけではすぐには元に戻りません。ダメージを受けた皮膚は回復に時間がかかるため、以下のような補助療法を併用することがあります。
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保湿剤や皮膚バリア改善スプレー
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免疫調整剤(シクロスポリン、オクラシチニブなど)
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感染がある場合は抗菌薬や抗真菌薬
また、皮膚以外にも影響が出ている場合は、血液検査やホルモン検査が必要になることもあります。
正しく使えば怖くない、でも油断は禁物!
ステロイド外用薬は、皮膚の炎症やかゆみを抑える非常に効果的なお薬です。しかし、自己判断での使用や漫然とした長期使用は、皮膚症を悪化させてしまう原因になります。
「これって副作用かも?」と思ったら、まずは動物病院へご相談ください。
正しい診断と安全な治療で、わんちゃん・ねこちゃんの健康な皮膚を守りましょう。
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