犬アレルギー性皮膚炎について

こんにちは!世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です。🌳

今回はわんちゃんで強いかゆみや脱毛などを引き起こす、アレルギー性皮膚炎についてご紹介します!

犬のアレルギー性皮膚炎とは?

「最近、うちの子がずっと体を掻いている」「お腹や耳が赤くなっている」──
そんな症状が見られたら、それはもしかするとアレルギー性皮膚炎かもしれません。

犬のアレルギー性皮膚炎は、犬に多く見られる慢性皮膚疾患のひとつであり、飼い主さんにとっても悩みの種です。早期に対処しなければ、強いかゆみや脱毛、皮膚の黒ずみ、感染症などを引き起こし、愛犬の生活の質(QOL)を大きく下げてしまうことも。

今回は犬のアレルギー性皮膚炎について分かりやすく解説します。気になる症状がある場合は、お気軽にご相談ください。

◆ アレルギー性皮膚炎とは? 〜犬の免疫が誤作動する病気〜

アレルギー性皮膚炎とは、通常では無害なはずの物質(アレルゲン)に対して、犬の免疫システムが過剰に反応してしまうことで起こる炎症性の皮膚疾患です。

これは「免疫の誤作動」とも言える状態であり、原因物質は非常に多岐にわたります。

主なアレルゲンの例

  • 空気中のダニ・ハウスダスト・カビ・花粉

  • 食物に含まれるタンパク質(牛肉、鶏肉、小麦、大豆など)

  • ノミの唾液

  • シャンプーや洗剤などの接触性物質

これらのアレルゲンに体が反応することで、皮膚にかゆみや発疹が生じ、愛犬が執拗に掻いたり舐めたりするようになるのです。

犬のアレルギー性皮膚炎の種類と特徴

犬のアレルギー性皮膚炎には、主に以下の3つのタイプがあります。複合的に併発していることも多いため、正確な診断と長期的な管理が重要です。

① アトピー性皮膚炎(犬アトピー)

  • 好発年齢:生後6ヶ月〜3歳頃

  • 主な原因:環境中のアレルゲン(ダニ、ハウスダスト、花粉など)

  • 主な症状

    • 耳、顔、足先、わきの下、内股などのかゆみ

    • 赤み、脱毛、湿疹

    • 慢性化すると皮膚が黒ずみ、厚くなる

特に柴犬、トイプードル、フレンチブルドッグ、シーズーなどに多く見られます。遺伝的素因が強いとされ、完全な根治は難しいため、生涯を通じた管理が必要です。

② 食物アレルギー

  • 発症年齢:年齢を問わず発症

  • 主な原因:食事中のタンパク質(牛肉、鶏肉、小麦、大豆、乳製品など)

  • 主な症状

    • 顔や耳、足先、肛門周囲、背中のかゆみ

    • 下痢、軟便、嘔吐といった消化器症状

    • 皮膚にブツブツや湿疹

診断には除去食試験(8〜12週間)が必須です。血液検査だけでは正確な診断は難しいため、自己判断で食事を制限するのは危険です!

③ ノミアレルギー性皮膚炎

  • 原因:ノミの唾液成分

  • 好発部位:腰のあたり、尻尾のつけ根、太もも

  • 特徴

    • たった1匹のノミでも強烈なかゆみを引き起こす

    • 激しく掻くことで二次感染や出血を伴うことも

    • 季節性(春〜秋)に多いが、室内犬では年中注意が必要

 

◆ よく見られる症状とサイン

以下のような症状がある場合は、アレルギー性皮膚炎の可能性が高いです。

  • ✔︎ 耳や足先をしきりに舐める、噛む

  • ✔︎ わきの下や内股が赤くなっている

  • ✔︎ フケや皮膚のベタつきが目立つ

  • ✔︎ 毛が抜けてきた、皮膚が黒ずんできた

  • ✔︎ 体臭が強くなった

  • ✔︎ かさぶたや膿が見られる

症状が軽くても、慢性化すると完治が難しくなるため、早めの対処が重要です。

◆ 診断のプロセス

犬のアレルギー性皮膚炎は、他の皮膚病との鑑別が非常に重要です。そのため、診断は以下のように段階的に行います。

  1. 問診と視診
     発症時期、飼育環境、食事内容、ノミ・ダニ予防の有無などを詳しくお伺いします。

  2. 皮膚検査
     真菌・細菌・ニキビダニなどの感染症を除外するため、皮膚のサンプルを採取し検査します。

  3. アレルゲン検査(血液 or 皮内テスト)
     アトピー性皮膚炎の原因を特定するために行うことがあります。

  4. 食物除去試験
     専用の除去食を2ヶ月以上続け、症状の変化を見ます。

診断には時間がかかる場合もありますが、正確な見極めが治療の鍵となります。

◆ 治療法:多角的なアプローチが必要

アレルギー性皮膚炎の治療は、「薬だけ」では不十分です。環境整備・食事管理・外用ケア・薬物療法などを組み合わせた総合的な治療が求められます。

● 環境整備

  • ハウスダストやダニを減らす掃除

  • 洗える寝具やカバー類の使用

  • 空気清浄機の導入

  • ノミ・ダニ予防の定期投薬

● 薬物療法

  • ステロイド(短期的に強力な炎症抑制)

  • アポキル(副作用が少なく、即効性あり)

  • サイクロスポリン(免疫調節薬)

  • 抗ヒスタミン薬や抗菌薬(症状や感染に応じて)

● 外用療法

  • 週1〜2回の薬用・保湿シャンプー

  • ステロイド外用薬

  • セラミドやオメガ3脂肪酸を含むスキンケア製品

● 食事療法

  • アレルゲン除去済みの療法食(加水分解タンパク食など)

  • 必ず獣医師指導のもとで継続的に実施

 

 

◆ 日常生活での注意点と予防策

  • 室内を清潔に保つ(特に寝床やカーペット)

  • 定期的なノミ・ダニ予防(通年がおすすめ)

  • 高湿度を避け、適切な温湿度管理

  • 洗剤やシャンプーは低刺激な動物専用製品を使用

  • 外出後は足や体を拭いて花粉や汚れを落とす

 

 

◆ まとめ:アレルギーと上手につきあうために

アレルギー性皮膚炎は、完治が難しい反面、適切なケアで大きく症状を軽減できる病気です。
飼い主が「様子を見よう」と判断する間に症状が悪化することもあるため、早期の受診がとても重要です。

当院では、月一回不定期で皮膚科の先生をお呼びして皮膚科診療も行っております。気になる症状があればぜひ一度ご相談ください。

東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、歯でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。


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けいこくの森動物病院  世田谷犬猫歯科

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