猫の2型歯牙吸収(吸収病巣)について

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こんにちは!世田谷区等々力のけいこくの森動物病院です。

猫ちゃんがごはんを食べづらそうにしていたり、お口を触るのを嫌がるといった様子を見たことはありませんか?実はそれ、「吸収病巣」と呼ばれるお口の病気が原因かもしれません。特に、今回ご紹介する「2型吸収病巣」は、猫ちゃんに多く見られ、進行すると歯が溶けてしまう病気です。

吸収病巣とは?

「吸収病巣(きゅうしゅうびょうそう)」は、正式には「歯の吸収病変」と呼ばれる病気で、猫の歯が少しずつ溶けていくという病気です。特に猫に多く見られ、成猫の半数以上に発生しているとも言われているほど一般的です。

歯の表面のエナメル質や象牙質が、猫自身の体により少しずつ破壊され、最終的には歯が崩れてなくなってしまいます。

吸収病巣のタイプ分類:1型と2型の違い

吸収病巣は大きく分けて「1型」と「2型」の2種類に分類されます。

タイプ 原因 特徴 主な治療法
1型 歯周病や炎症による 歯の根の構造が残っている 抜歯が基本
2型 明確な原因は不明 歯の根の構造が吸収され、骨と融合 抜歯か歯冠切除

今回は、より複雑で治療方針が変わる「2型吸収病巣」にフォーカスします。

2型吸収病巣の特徴とは?

1. 歯根が骨とくっついてしまう

2型吸収病巣では、歯根(歯の根っこ)の部分が骨と融合してしまい、レントゲンで見ると歯根が消えているように見えることがあります。この現象を「骨性癒合(こつせいゆごう / ankylosis)」と呼びます。

そのため、歯を抜こうとしても、根が骨と一体化しているため通常の抜歯が困難です。

2. 見た目ではわかりにくい

外から見ただけでは2型か1型かの判断は難しく、正確な診断には歯科用レントゲン検査が必須です。動物病院で歯科検診を受けることで、はじめて気づかれるケースがほとんどです。

3. 無症状のまま進行することも

飼い主さんが気づきにくいのがこの病気の怖いところ。猫は痛みを隠す動物なので、ごはんを普通に食べていても実は進行しているということが多々あります。

2型吸収病巣の原因は?

現時点では、明確な原因はわかっていません。しかし、以下のような説があります

  • 歯周組織の異常な免疫反応

  • ビタミンDの過剰摂取

  • 遺伝的要因

  • 加齢による自然現象の一部?

特に高齢の猫で発生率が高まる傾向があります。

飼い主さんが気づける症状は?

2型吸収病巣は無症状のことも多いですが、進行すると以下のような変化が見られることがあります。

  • ごはんを食べる速度が遅くなった

  • 固いカリカリを避けて柔らかい物を好む

  • 食事中に顔をしかめたり、口を気にする

  • 口臭がきつい

  • よだれが多くなる

  • 口元を触られるのを嫌がる

上記のような症状が見られた場合は、歯のトラブルのサインかもしれません。早めに動物病院で相談しましょう。

治療法:2型の場合は「歯冠切除」が選ばれることも

2型吸収病巣では、歯根が骨と癒合しているため、無理に抜歯すると顎の骨にダメージを与えてしまう可能性があります。

そのため、以下のような治療方針が取られることが多いです。

歯冠切除術(しかんせつじょじゅつ)

歯の見えている部分(歯冠)だけを切除し、痛みの原因となる部分を取り除く手術です。残った歯根は骨と一体化しており、炎症がなければそのままでも問題ないとされています。

この手術は、歯科レントゲン検査で「2型」と診断された場合に限って適用されます。

放置するとどうなるの?

吸収病巣を放置していると、以下のような問題が起こります。

  • 強い痛みによる食欲不振や体重減少

  • 顎の骨の破壊や歯の脱落

  • 他の歯や口腔内への悪影響

  • 慢性の口内炎を引き起こすことも

猫ちゃんの生活の質(QOL)が大きく下がってしまうため、早めの対処がとても重要です。

予防や早期発見のためにできること

2型吸収病巣を完全に予防する方法は残念ながらありませんが、次のような習慣が早期発見に役立ちます。

  • 定期的な歯科検診(できれば年1回)

  • 猫用の歯磨きやデンタルケア習慣

  • 日常の食事や行動の観察

  • お口を触ってみて嫌がる様子がないかチェック

 

まとめ:2型吸収病巣は「見えない進行」に注意!

猫の2型吸収病巣は、見た目だけでは判断が難しく、進行すると生活に大きな支障をきたす病気です。大切なのは、定期的なチェックと、早めの動物病院での診断・治療です。

「最近ちょっとごはんの食べ方がおかしいな?」と思ったら、遠慮なくご相談ください。当院では歯科レントゲンによる精密検査や、治療のご提案を行っています。

 

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けいこくの森動物病院  世田谷犬猫歯科

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