犬や猫のワクチン接種後に気をつけたいこと ― 有害事象の種類と対処法

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こんにちは!世田谷区等々力のけいこくの森動物病院です。

犬や猫にとって、ワクチン接種は感染症を予防するための大切な医療行為です。狂犬病やパルボウイルス感染症、猫ウイルス性鼻気管炎など、命に関わる病気を未然に防ぐ効果があるため、定期的な接種が推奨されています。

一方で、まれに「ワクチン接種後の副反応」や「有害事象」と呼ばれる体調変化が起こることがあります。ほとんどは一過性で自然に回復しますが、ごくまれに重度のアレルギー反応を起こすこともあります。
今回は、飼い主さんが知っておくと安心な「ワクチン接種後の有害事象」について詳しく解説します。

 

💉 ワクチン接種後に起こる可能性のある反応とは

ワクチンを接種すると、体内では「免疫反応」が起こります。これは病原体の一部(抗原)に対して免疫が働き、次に本物のウイルスや細菌に出会ったときにすぐ対応できるようにするための自然な仕組みです。
しかし、この免疫反応が強く出すぎると、体にさまざまな変化が起こることがあります。これがいわゆる「ワクチン接種後の有害事象」です。

有害事象には大きく分けて次のような種類があります。

 

🐾 軽度でよくみられる反応

多くの犬や猫で見られる軽い副反応です。通常は1〜2日で自然に回復します。

● 注射部位の腫れやしこり

ワクチンを打った場所が少し赤くなったり、触るとコリコリとしたしこりができることがあります。
この反応は局所的な免疫反応であり、数日〜数週間で自然に消えることがほとんどです。
ただし、数週間経ってもしこりが大きくなる場合や、痛み・熱感がある場合は受診をおすすめします。

● 一時的な発熱・元気食欲の低下

接種当日や翌日に「少し元気がない」「食欲が落ちた」と感じることがあります。
これは免疫が働いている証拠でもあり、半日〜1日ほどで改善することが多いです。
ただし、発熱が続いたり、ぐったりしている場合は早めに相談してください。

⚠️ 注意が必要な中等度の反応

● 蕁麻疹や顔の腫れ(アレルギー反応)

接種後30分〜数時間以内に、顔がむくんだり、口周りや耳が赤く腫れたりすることがあります。
これはアレルギー反応の一種で、放置すると重症化することもあるため、すぐに動物病院に連絡を。
軽い場合でも、抗ヒスタミン薬やステロイド注射で早めにコントロールするのが安全です。

● 嘔吐・下痢

ワクチンの刺激で胃腸が一時的に反応することがあります。
1回程度の嘔吐や軽い下痢であれば経過観察でも問題ありませんが、繰り返すようなら受診をおすすめします。

🚨 まれに起こる重度の有害事象

● アナフィラキシー反応

ごくまれに見られる最も重度の副反応で、ワクチン成分に対して全身性の強いアレルギー反応が起こります。
症状としては、

  • 接種後すぐにぐったりする

  • 呼吸が荒い

  • よだれが多い

  • 嘔吐や下痢を繰り返す

  • チアノーゼ(舌や粘膜が青白い)
    といったものがあります。

このような症状が見られた場合は、一刻も早く動物病院で治療を受ける必要があります。
通常、ワクチン接種後30分ほどは待合室で安静に過ごすことが推奨されるのは、この反応にすぐ対応できるようにするためです。

● 遅発性の免疫反応

接種から数日〜数週間後に、免疫系が過剰に反応して炎症を起こすことがあります。
例としては「免疫介在性溶血性貧血」や「免疫介在性血小板減少症」などがあり、非常にまれではありますが、発熱・黄疸・出血傾向などが見られる場合は要注意です。

🧬 有害事象が起こる原因

ワクチン接種後の反応は、体質や免疫の状態によって個体差があります。
主な原因としては以下が挙げられます。

  • 過去のアレルギー歴

  • ワクチンに含まれる成分(保存剤や培養成分)への過敏反応

  • 同時接種(複数ワクチンを一度に打つ)

  • 小型犬や若齢猫など、体重あたりの負担が大きい場合

  • 遺伝的素因や自己免疫の異常

また、体調が万全でないとき(発熱・下痢・ヒート中など)に接種すると、通常よりも反応が強く出ることがあります。

 

🩹 飼い主さんができる予防と対策

🕒 1. 接種後15〜30分は病院で様子を見る

重度のアレルギー反応はほとんどが接種直後に起こります。
接種後すぐに帰らず、30分ほど院内や車内で様子を見るようにしましょう。

🍀 2. 接種当日は安静に

ワクチン接種後は激しい運動を避け、安静に過ごすのが安心です。
散歩も軽めにして、体調に変化がないか観察しましょう。

📅 3. 接種前の健康チェックを

体調が悪い日や発熱している日には接種を避け、獣医師と相談のうえで延期するのが安全です。

🧾 4. 過去の反応を伝える

以前のワクチンで腫れやアレルギーを起こしたことがある場合は、必ず獣医師に伝えてください。
必要に応じて、種類やメーカーを変更することも検討できます。

🏥 ワクチンは「怖いもの」ではなく「守るもの」

副反応という言葉だけ聞くと不安になる方も多いですが、実際に重度の有害事象が起こるのは非常にまれです。
多くの犬や猫は、接種後に少し元気がない程度で、翌日には普段どおり元気に過ごしています。

むしろ、ワクチンを接種しないことで重篤な感染症にかかるリスクの方が圧倒的に高いと言えます。
大切なのは、「有害事象のリスクを正しく理解し、万が一のときに冷静に対応できるよう備えること」です。

 

まとめ

  • ワクチン接種後の軽い反応(腫れ・倦怠感など)はよくあること

  • 顔の腫れや呼吸困難などの症状があればすぐに受診

  • 接種後15〜30分は病院で様子を見るのが安心

  • 接種前に体調や過去の反応を獣医師に伝える

  • 適切な知識を持っていれば、ワクチンは安全で有効な予防手段

 

おわりに

動物たちの健康を守るうえで、ワクチンは欠かせない存在です。
もし接種後に少しでも気になる変化があれば、「様子を見よう」とは思わず、早めにご相談ください。
当院では、ワクチン接種の前後に丁寧な問診と観察を行い、できるだけ安全に予防できるようサポートしています。

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