犬の犬歯が内側に入り込みすぎている?ベースナロウについて

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こんにちは!世田谷区等々力のけいこくの森動物病院です。

皆さんのワンちゃんは、口を閉じたときに「犬歯(けんし)」が正しい位置にうまく収まっていますか?

下顎の犬歯が内側に入り込みすぎてしまう状態を、「基部狭小犬歯(きぶきょうしょうけんし)、ベースナロウ(Base narrow canines)」と呼びます。この状態だと上顎の口蓋(こうがい)を傷つけてしまうことがあります。

見た目には少し歯並びが悪い程度にしか見えなくても、実は犬にとっては慢性的な痛みや炎症の原因になっていることがあり、放置すると重大なトラブルにつながることも。今回は、基部狭小犬歯とは何か、なぜ問題になるのか、そしてどのような治療が必要なのかを解説します。

基部狭小犬歯とは?

犬歯の基本構造

犬の口の中には、上下左右に1本ずつ、計4本の犬歯があります。これらは本来、しっかりと噛み合い、閉口時にもお互いが接触しないように機能的な配置になっているのが正常です。

基部狭小犬歯の定義

「基部狭小犬歯」とは、下顎の犬歯が内側(舌側)に傾いて生え、上顎の口蓋や歯ぐきに突き刺さる・接触するような状態を指します。「基部狭小」とは、犬歯の歯冠(頭の部分)ではなく、歯根の基部にあたる位置が狭いために生じる異常という意味です。

関連する症状

  • 口を閉じると下の犬歯が上あごに刺さる

  • よだれが多い

  • 食べづらそうにする

  • 口を触られるのを嫌がる

  • 口臭や歯肉炎、口腔内潰瘍

 

なぜ問題になるの?

基部狭小犬歯は、単なる「見た目の問題」ではありません。

慢性的な痛みと不快感

犬歯が上顎の粘膜や歯ぐき、場合によっては硬口蓋(上顎の硬い部分)に接触・刺入することで、潰瘍や炎症が慢性化します。これは犬にとって強い不快感や痛みの原因になります。

成長期の問題

基部狭小犬歯は、特に乳歯がうまく抜けずに永久歯が正しく生えないことが原因で生じるケースが多く、トイ・プードルやポメラニアン、チワワなどの小型犬種に多く見られます

診断

視診

まずは口の中を視診し、上下の犬歯の位置関係や粘膜の損傷を確認します。口を閉じた際に犬歯がどこに接触しているかを確認することが重要です。

歯科X線検査(レントゲン)

歯根の位置関係や歯の生え方を詳しく把握するためには、歯科用X線が有効です。特に治療を検討する場合は、歯根の方向や長さ、周囲組織の状態を評価する必要があります。

治療の選択肢

基部狭小犬歯は、放置して自然に治ることはほぼありません。愛犬の快適な生活のためには治療が勧められます。

① 歯冠切断と生活歯髄治療

突出している犬歯の一部を削り、高さを調整することで口蓋への刺入を防ぎます。削った歯はそのままにすると感染のリスクがあるため、通常は根管治療を併用します。

  • メリット:歯を残せる

  • デメリット:麻酔下での高度な処置が必要

② 矯正治療

犬歯の角度や位置を矯正装置によってゆっくりと正常な位置に誘導する方法です。特に若齢犬(6か月~1歳未満)では有効です。

  • メリット:歯を削らず、機能的な咬合を目指せる

  • デメリット:装置の装着と調整に複数の麻酔が必要/時間がかかる

 ③ 抜歯

重度の場合や他の方法での改善が見込めない場合、犬歯の抜歯を行うこともあります。

  • メリット:確実な痛みの除去

  • デメリット:機能への影響/顔の形の変化

飼い主様ができること

早期発見・早期受診

子犬の頃から定期的に口の中をチェックし、「犬歯が歯ぐきに当たっていないか」「よだれが増えていないか」などを確認することが大切です。特に乳歯が抜けた後に永久歯が異常な角度で生えている場合は、すぐに動物病院で相談しましょう。

 おうちでの口腔ケア

異常がなくても、日頃から歯磨きや口の中を触る習慣をつけておくことで、異常の早期発見にもつながります。

まとめ

「基部狭小犬歯」は、単なる歯並びの問題ではなく、犬にとっては痛みやストレスの原因となる病態です。特に小型犬ではよく見られるため、子犬のうちから注意して観察することがとても大切です。

当院では、歯科レントゲンを用いた精密な診断や、矯正・抜歯・根管治療などの専門的な処置も行っています。少しでも愛犬の口元に気になる様子がある場合は、お気軽にご相談ください。

大切な家族の一員である愛犬が、痛みなく快適に過ごせるように、早期のケアを心がけましょう。

東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、歯でお困りの方は、いつでもお待ちしております。


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けいこくの森動物病院  世田谷犬猫歯科

〒158-0082

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シュロス等々力1F

TEL:03-3704-1014

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