2025/07/12
こんにちは!
世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です🌳
ご自宅のわんちゃん・ねこちゃんの歯をよく見たとき、
「なんだか歯が黒っぽい?」
「前は白かった気がするのに茶色くなってきた」
そんな風に感じたことはありませんか?
このような色の変化の多くは「外因性色素沈着(がいいんせい しきそちんちゃく)」と呼ばれる状態で、歯の表面についた汚れや色素の沈着が原因です。
見た目の印象に関わるだけでなく、口腔内の健康状態のサインでもあるため、放置せずチェックすることが大切です。今回はこの外因性色素沈着について詳しく解説いたします。
外因性色素沈着とは?
外因性色素沈着とは、歯の外から取り込まれた物質によって、歯の表面に色がついてしまう状態です。
ヒトではコーヒーや紅茶、たばこなどが原因として知られていますが、動物たちの場合も食べ物・薬剤・細菌の代謝産物などが原因となります。
沈着する色は黒、灰色、緑、銀色、オレンジ色など多様で、エナメル質の表面にべったりと着色が起こるのが特徴です。
なぜ色がつくの?
主な原因として、以下のようなものが考えられます。
食餌や飲料に含まれる色素
缶詰やウェットフード、着色されたおやつ、または長期的な使用によるフードの成分が色素沈着の原因となることがあります。
口腔内細菌の代謝産物
口の中の細菌が作り出す成分によって歯の表面に色がつくことがあります。これが「歯垢(プラーク)」の着色に繋がることも。
消毒薬(クロルヘキシジンなど)の使用
口腔内を清潔に保つための洗口液やスプレーの中には、クロルヘキシジンという殺菌成分が含まれるものがあります。
これは有効ですが、長期間使い続けると歯の表面に黒や茶色の着色を引き起こすことがあります。
金属の咀嚼
フェンスや金属製のゲージをかじる癖がある子では、エナメル質に金属が付着し、銀色や灰色の光沢がつくこともあります。これを「金属性沈着」と言います。
どの歯に多く見られるの?
外因性色素沈着は、前臼歯(ぜんきゅうし)や後臼歯(こうきゅうし)の唇側(しんそく:外側)や前庭側(ぜんていそく:頬側)に出やすいのが特徴です。
金属による着色の場合は、前歯(切歯)や犬歯に集中して現れることが多く、かじる癖がある子には要注意です。
診断はどうやって行うの?
診断は、歯の表面をよく観察することから始まります。
外因性色素沈着の場合は、表面に付着しているだけなので、軽くこすったり研磨することで簡単に除去できます。
獣医師がプローブやスケーラーといった機械でで触れて確認することで、内因性との判別が可能です。
また、他の歯科疾患の有無も同時にチェックするため、口腔内全体の診察や必要に応じてレントゲン検査を行うこともあります。
治療は?放っておいても大丈夫?
外因性色素沈着は、美観上の問題が中心で、痛みや感染などを引き起こすことはまれです。
ただし、そのまま放置すると歯石や細菌の温床になることもあるため、早めの処置がおすすめです。
治療方法
最も効果的な方法は、麻酔下でのスケーリングと研磨(ポリッシング)です。
超音波スケーラーによって沈着した色素や歯垢、歯石を取り除きます。
その後、2種類のポリッシング剤を用いて歯の表面をツルツルに磨き、歯垢や色素の沈着を予防します。
予防はできる?
完全に防ぐのは難しいですが、以下のような対策でリスクを減らすことができます。
- 着色しやすい食べ物やおやつの頻度を減らす
- 長期間のクロルヘキシジン使用は獣医師と相談の上で
- 金属製品をかじらないよう工夫する
- 定期的なデンタルケア(歯磨きやガムなど)を行う
- 年1〜2回の口腔内検診とスケーリングを受ける
まとめ
- 外因性色素沈着は、歯の外側に付いた色素による着色です
- 主に食べ物、細菌の代謝物、薬剤や金属との接触が原因
- 見た目は悪くても、簡単な研磨で除去できるケースがほとんど
- ただし、内因性や他の歯科疾患と見分けが必要なため、専門の診察を受けましょう
「歯の色が気になる…」そんな時はご相談ください
外因性色素沈着は命に関わるような病気ではありませんが、飼い主さんが最初に気づける“お口のサイン”でもあります。
早期の処置で健康な歯を守ることができ、同時に他の隠れた歯科疾患を発見するチャンスにもなります。
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