2025/08/26
こんにちは!世田谷区等々力のけいこくの森動物病院です。
犬の耳の病気と聞くと、多くの飼い主さんが「外耳炎(がいじえん)」を思い浮かべるのではないでしょうか。外耳炎は犬に非常に多い病気ですが、耳のさらに奥で起こる「中耳炎(ちゅうじえん)」も決して珍しいものではありません。中耳炎は放置すると難治性になったり、全身に影響を及ぼすこともあるため、早期発見・早期治療がとても大切です。今回は、犬の中耳炎について原因・症状・診断・治療法・予防のポイントを解説していきます。
中耳炎とは?
耳は大きく分けて「外耳」「中耳」「内耳」の3つの構造から成り立っています。
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外耳:耳の穴から鼓膜までの部分
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中耳:鼓膜の奥にある空間(耳小骨や耳管などが存在する)
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内耳:さらに奥で平衡感覚や聴覚を司る部分
中耳炎は、鼓膜の奥にある「中耳」に炎症が起こった状態を指します。外耳炎に続発するケースが多く、特に外耳炎を繰り返している犬では中耳炎を併発していることも少なくありません。
犬の中耳炎の原因
犬の中耳炎はさまざまな原因で発症します。代表的なものを挙げてみましょう。
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外耳炎の波及
最も多い原因です。外耳炎の炎症が長引くと鼓膜が破れてしまい、細菌や真菌が中耳に入り込んで炎症を起こします。慢性外耳炎を持っている犬は注意が必要です。 -
耳管からの感染
鼻や咽頭から耳管(じかん)を通じて中耳に感染が広がることがあります。特に上気道感染が関与するケースがあります。 -
腫瘍やポリープ
耳の中にできた腫瘍やポリープが耳道を塞ぎ、炎症や感染を起こして中耳炎につながることもあります。 -
外傷や異物
強く耳を掻いたり、草の種などの異物が奥に入り込むことで鼓膜が損傷し、中耳炎を発症する場合もあります。
中耳炎の症状
中耳炎の症状は、外耳炎と似ている部分もありますが、より深刻なサインを示すこともあります。
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耳をしきりに掻く、頭を振る
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耳からの悪臭や膿性の耳だれ
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耳を触ると嫌がる、痛がる
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頭を片側に傾ける(斜頸)
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ふらつきや平衡感覚の異常(内耳まで炎症が及んだ場合)
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食欲不振、元気消失
特に「頭を傾ける」「ふらつく」といった症状がある場合、すでに内耳や神経に炎症が及んでいる可能性があり、早急な治療が必要です。
診断方法
動物病院では以下のような方法で診断を行います。
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耳鏡検査
耳の奥を観察して、鼓膜の状態を確認します。鼓膜が破れているか、腫れているかなどが重要な手がかりとなります。 -
細菌培養検査
耳だれを採取して、どのような細菌や真菌が原因かを調べます。これにより、効果的な抗生物質や抗真菌薬を選ぶことができます。 -
画像検査(X線・CT・MRI)
中耳炎が疑われる場合、レントゲンやCT、MRIで中耳の状態を詳しく確認することがあります。慢性例や神経症状が出ている場合には特に有効です。
治療法
中耳炎の治療は、原因や重症度によって変わります。
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薬物療法
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抗生物質(内服や点耳薬)
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抗真菌薬(真菌性の場合)
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消炎鎮痛薬
細菌や真菌の種類を見極めたうえで、適切な薬を選択します。
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耳の洗浄
動物病院で耳の奥を洗浄し、膿や汚れを除去することがあります。麻酔が必要な場合もあります。 -
外科手術
薬では改善しない慢性中耳炎や腫瘍によるものでは、外科的に中耳の病変を取り除く手術(外耳道切除術、鼓室胞切開術など)が行われることもあります。
放置するとどうなるの?
中耳炎を放置すると、炎症がさらに奥の「内耳」や「脳」に広がる危険性があります。内耳炎に進行すると、平衡感覚の障害や難聴、顔面神経麻痺など深刻な症状を引き起こすことがあります。重症化すれば命に関わることもあり、決して軽視できる病気ではありません。
予防のポイント
中耳炎を防ぐためには、外耳炎の予防と早期治療が鍵になります。
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定期的に耳をチェックする(赤み・臭い・耳だれの有無)
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耳の毛が多い犬種は適度に処理して通気性を良くする
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定期的な耳掃除(ただしやり過ぎは逆効果)
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アレルギー体質の犬は食事管理や皮膚ケアを徹底する
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外耳炎を繰り返す場合は早めに動物病院で検査を受ける
飼い主さんへのメッセージ
犬の中耳炎は、外耳炎に比べて気づきにくく、症状が出る頃には重症化していることも少なくありません。「耳を痒がる」「頭を振る」などの小さなサインを見逃さず、早めに相談することが大切です。定期健診や耳の健康チェックも、中耳炎の予防に役立ちます。
愛犬の耳の健康を守ることは、快適な生活を送るために欠かせません。気になる症状があればご相談ください。
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