2025/04/23
こんにちは!世田谷区等々力のけいこくの森動物病院です。
最近、「うちの子、目がしょぼしょぼしていて目が乾いている」「目ヤニが多くて気になる」といったご相談を受けることがあります。こうした症状の背景にあるかもしれないのが「乾性角結膜炎(かんせいかくけつまくえん)」という病気です。
今回は、この「乾性角結膜炎」について、飼い主さんにもわかりやすく解説します。早期に気づいてあげることで、ワンちゃんの目の健康を守ることにつながります。
乾性角結膜炎(KCS)ってどんな病気?
乾性角結膜炎(KCS:Keratoconjunctivitis Sicca)は、涙の量が減ってしまい、目の表面が乾燥して炎症を起こす病気です。人間でいう「ドライアイ」に近い状態と考えるとわかりやすいかもしれません。
涙は、ただ目を潤すだけでなく、汚れや細菌を洗い流したり、角膜に栄養を与えたりと、重要な役割を担っています。その涙が不足すると、目の表面(角膜や結膜)が傷つきやすくなり、炎症や感染、視力障害につながることもあります。
症状
KCSになると、以下のような症状が見られることがあります。
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目ヤニが増える(特に粘り気のある黄緑〜茶色のもの)
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目がしょぼしょぼして開けにくそう
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白目(結膜)が赤くなる
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角膜が濁ってくる
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まぶたでこすったり、床に顔を擦りつける
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涙が出ていない、または涙が少ないと感じる
初期段階では「ちょっとした目ヤニ」程度で見過ごされがちですが、放っておくと角膜潰瘍や視覚障害など、重篤な合併症に進行することもあります。
原因
KCSの原因はさまざまですが、主に次のようなものがあります。
1. 自己免疫性
最も多い原因とされており、自分の免疫が涙腺を攻撃してしまうことで涙の分泌が減少します。特に、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルやシーズー、ウエスティなどの犬種で多く見られます。
2. 薬剤性
特定の薬(例:一部の鎮痛薬や抗生物質、アトロピンなど)が涙腺に影響して、涙の分泌が減ることがあります。
3. 感染や外傷
ジステンパーウイルス感染後に涙腺がダメージを受けたり、頭部外傷によって涙腺の神経が損傷されるケースもあります。
4. 加齢や先天性の涙腺異常
高齢犬や生まれつき涙腺が発達していないワンちゃんも涙の分泌が少なくなることがあります。
診断
病院では、以下のような検査を行って診断します。
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シルマーティアテスト(STT)
涙の分泌量を専用の紙で測定します。基準値より涙が少ない場合、KCSが疑われます。 -
フルオレセイン染色検査
角膜に傷がないかを調べる検査です。乾燥で角膜が傷ついているかどうかが分かります。 -
目の状態の観察(スリットランプなど)
症状と検査結果を総合して、KCSかどうかを判断します。
治療法
KCSは慢性の病気であり、基本的には生涯にわたって治療が必要です。しかし、早期に治療を始めれば、目の状態を良好に保つことができます。
主な治療法は以下の通りです:
点眼薬による治療
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免疫抑制剤
自己免疫による涙腺の攻撃を抑えるお薬です。これにより涙の分泌が回復する場合があります。 -
人工涙液
涙の代わりに目を潤す点眼薬。こまめな使用が必要です。 -
抗生物質や抗炎症剤の点眼
感染や炎症がある場合に併用します。
飼い主さんができること
KCSは、根気強く治療を続けることがとても大切な病気です。飼い主さんにできるサポートとしては:
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点眼を忘れずに行うこと
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ワンちゃんの目の様子を日々観察すること
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目をこすらないようにカラーを使うことも考慮する
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定期的な検査・通院で状態をチェックすること
症状がよくなっても、自己判断で点眼をやめてしまうと再発や悪化の原因になります。病院と連携して、継続的にケアを続けていくことが重要です。
最後に:早期発見・早期治療がカギです
乾性角結膜炎は、決して珍しい病気ではありません。早期に気づいてあげることで、ワンちゃんが痛い思いをせずに済むこともたくさんあります。
「目ヤニが多い」「目が赤い」「涙が出ていない」などの気になる症状がある場合は、どうぞお気軽にご相談ください。
また、東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、歯でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。
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けいこくの森動物病院 世田谷犬猫歯科
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