歯肉炎について

こんにちは!世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です。🌳

今回はわんちゃんねこちゃんで多く見られます『歯肉炎』についてご紹介します!

 

 

犬・猫の口臭、そのままにしていませんか?歯肉炎が命に関わる前にできること

「最近口がくさいかも…」
「歯みがきを嫌がるから放っている」

それ、“歯肉炎”のサインかもしれません。

犬や猫の歯肉炎は、人間のように自然治癒することはほとんどありません。しかも、放置すると歯が抜けるだけでなく、口腔内の細菌が血流にのって全身に回り心臓病や腎不全に発展することもあります。

歯肉炎とは|目に見えない“サイレント疾患”

歯肉炎(しにくえん)は、文字通り「歯茎(歯肉)」に炎症が起きている状態です。最も多く見られるのは、歯垢・歯石に潜む細菌が原因の感染性炎症です。

上の画像は犬、下の画像は猫の口腔内の画像です。

歯肉炎の正体=“細菌感染による炎症”

  • 食べかす → 歯垢(プラーク) → 細菌繁殖 → 歯肉が赤く腫れる

  • 時間経過で歯垢が石灰化 → 歯石へ → 歯周ポケットに入り込む

  • 歯肉の出血・化膿 → 歯を支える骨が破壊される(歯周炎)

この炎症が歯肉だけにとどまっている段階が「歯肉炎」
それを越えて歯の土台である骨にまで進行した状態が「歯周炎」です。この歯肉炎や歯周炎を総称して歯周病といいます。

犬猫の歯肉炎、実はとても多い病気です

驚くことに、3歳以上の犬・猫の約8割が、何らかの歯周疾患を抱えていると言われています(アメリカ獣医歯科AHAAのガイドラインより)

犬や猫は痛みや不快感を隠す習性があるため、「口を痛がらない=大丈夫」ではないのが厄介なところです。

歯肉炎の症状チェックリスト|ひとつでも当てはまれば要注意!

口がくさい(腐敗臭のようなにおい)
✅ 歯茎が赤い腫れている
✅ 歯に茶色や黄色歯石がついている
✅ ごはんを食べにくそうにしている(特に硬いもの)
よだれが多い口元を気にする
口を触ると怒る嫌がる
片側の歯ばかりで噛んでいる

一つでも当てはまれば、歯肉炎の可能性があります。

放っておくと怖い「歯肉炎」|進行するとこんなリスクが…

歯が抜ける

歯周ポケットに入った細菌が歯の根っこを溶かし、歯がグラグラに。抜けるか、抜くしかない状態に。

顎の骨が折れる

小型犬や老猫では、骨がもろくなり、食事や抱っこだけで骨折することもあります。

命に関わる全身疾患へ

細菌が血流に乗って心臓・腎臓・肝臓へ
特に高齢の子や持病のある子では、細菌性心内膜炎や腎炎の原因にもなりえます。

歯肉炎の診断|動物病院でできること

当院では、以下のような方法で正確な診断を行います。

  • 視診・触診:口内の腫れや出血、歯石の有無を確認します。

  • プロービング検査:歯周ポケットの深さを調べます(麻酔下)。

  • 歯科レントゲン(X線):歯根の状態、骨の吸収を確認します。(麻酔下)

歯肉炎の治療|根本から改善するには?

スケーリング(歯石除去)

専用の超音波スケーラーを使用し、全身麻酔下で歯石・歯垢を徹底除去します。

麻酔が必要な理由は、どうしても動いてしまうわんちゃんねこちゃんの口腔内を安全にかつ根本的に処置するためです。

ポリッシング(歯の研磨)

歯石除去後のザラついた表面を滑らかに整え、歯石の再付着を防ぎます。

重症例では抜歯

グラグラしている歯、感染が進んでいる歯は抜歯が必要になることもあります。

お薬の処方

口腔内細菌の制御、歯肉炎の改善のためにインターフェロンα製剤を処方します。

よくある質問|歯石除去、麻酔は大丈夫?

「高齢だから麻酔が心配です…」という声も多くいただきます。

当院では、

  • 術前検査(血液検査・画像検査など)を必ず実施

  • 必要に応じて麻酔のリスクを最小限にする鎮静法を選択

  • シニア動物・持病のある子にも対応実績あり(専門の麻酔科医の指導もとで処置することも可能)

慎重かつ安全に処置を行います。お気軽にご相談ください。

歯肉炎の予防|毎日のケアが最大の武器

毎日の歯みがき

  • 最も効果的な予防法です。少しずつ慣れれば、ほとんどの子が習慣にできます。

  • 動物専用の柔らかい歯ブラシ+犬猫用歯みがきペーストを使用しましょう。

デンタルガムや専用おやつの併用

  • 歯みがきが難しい子には、噛むことで歯垢を除去する製品も有効。

   ただ、最終的には歯磨きが必須です!併用して使っていきましょう🦷

   また、硬すぎるデンタルガムを嚙むと歯が欠けてしまうこともあるので、注意しましょう。

定期的なチェック

  • 年1〜2回の歯科検診・クリーニングを推奨します。

 

まとめ|お口のケアは“命のケア”

  • 歯肉炎は「歯が悪くなる病気」ではなく、「全身に影響する病気

  • 無症状でも進行し、歯を失うだけでなく命に関わることも

  • 予防と早期発見が、健康寿命を守るカギ

口周り触るのを嫌がる、口臭が…など些細なことでも気づいた時が受診のタイミング。
あなたの気づきが、大切なわんちゃんねこちゃんの健康を守ります。

 

 

東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、歯でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。


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けいこくの森動物病院  世田谷犬猫歯科

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TEL:03-3704-1014

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