2025/09/18
こんにちは!世田谷区等々力のけいこくの森動物病院です。
愛犬・愛猫がいつもと違う様子…元気がなかったり、痩せてきたり、おしっこの量が増えた気がする…。そんな時、「もしかしたら腎臓の病気かもしれません」と言われたら、驚きますよね。
今回は、犬や猫に見られる腎臓の病気のひとつ、「蛋白漏出性腎症(たんぱくろうしゅつせいじんしょう)」についてわかりやすく解説していきます。
「蛋白漏出性腎症」ってどんな病気?
「蛋白漏出性腎症(たんぱくろうしゅつせいじんしょう)」とは、腎臓の中のろ過フィルターの役割をする部分(糸球体)に異常が起き、本来なら体にとどまるべきタンパク質が、尿と一緒に漏れ出てしまう状態をいいます。
正常な腎臓は、血液の中から老廃物をろ過し、尿として体外に排出します。その際、体に必要なもの(血球やタンパク質など)は再吸収されて、尿には出てきません。しかし、腎臓が傷つくとこの仕組みがうまくいかなくなり、血液中のアルブミンというタンパク質が尿中に漏れ出すようになります。
これが「蛋白漏出性腎症」の特徴です。
どんな症状が出るの?
この病気の怖いところは、初期には目立った症状が出にくいことです。以下のような変化が見られることがありますが、飼い主さんが見てすぐに気づけるものばかりではありません。
初期の症状
-
元気がない
-
食欲が落ちる
-
体重が減る
-
被毛のツヤがなくなる
-
尿の量が増える、または減る
進行すると…
-
腹水(お腹に水がたまる)
-
浮腫(足や顔がむくむ)
-
高血圧
-
血栓症(血のかたまりができる)
-
命に関わることも…
特に、尿にタンパクが出ているだけでは明らかな症状が出ないことも多いため、健康診断や尿検査で偶然見つかることもあります。
原因
蛋白漏出性腎症は、以下のような原因で起こることがあります。
免疫異常
体の免疫システムが誤作動を起こし、自分の腎臓を攻撃してしまう自己免疫疾患。
感染症
犬であればアデノウイルスやフィラリア症、猫であれば猫免疫不全ウイルス(FIV)や猫白血病ウイルス(FeLV)感染症が関与することがあります。
腫瘍や慢性炎症
体のどこかでがんや慢性的な炎症が起きていると、それが原因となって腎臓に負担がかかることがあります。
原因不明(特発性)
明確な原因がわからない場合もありますが、それでも治療や管理が重要です。
診断
診断には以下のような検査が使われます。
-
尿検査(尿タンパク・尿比重・UPC比)
-
血液検査(アルブミン、BUN、クレアチニンなど)
-
超音波検査(腎臓の構造を見る)
-
血圧測定
-
追加の感染症検査や免疫検査
特に重要なのがUPC比(尿中タンパク・クレアチニン比)という指標です。これは、尿の中にどれだけタンパク質が漏れているかを数値で表したもので、UPC値が高いほど病気が進行している可能性があります。
治療
完治が難しいケースもありますが、進行を遅らせたり、症状を和らげたりする治療は可能です。
薬物療法
-
血圧を下げる薬
-
血栓を予防する薬
-
炎症や免疫を調整する薬
原因疾患の治療
感染症や自己免疫疾患が原因であれば、それに対する治療も同時に行います。
早期発見・早期治療がカギ!
蛋白漏出性腎症は、気づいた時には進行していた…というケースも少なくありません。
そのため、以下のようなタイミングでの定期的な尿検査や健康診断を強くおすすめします。
-
7歳以上のシニア犬・猫
-
慢性の皮膚疾患や歯周病がある
-
食欲や体重の変化がある
-
感染症の既往がある
早期に発見できれば、治療によって長く元気に過ごせる可能性がぐっと高くなります。
まとめ
蛋白漏出性腎症は、静かに進行する「見えにくい腎臓の病気」です。
ですが、尿検査で早めに見つけることができれば、治療によって進行を遅らせることも可能です。
🐾「なんとなく元気がないな…」
🐾「年をとってきたから心配…」
そんな時は、ぜひお気軽にご相談ください
【関連記事はこちら】
飲む水の量・おしっこの量が増えた、痩せてきた:もしかして慢性腎臓病⁉
東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。
。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。・゚・。
けいこくの森動物病院 世田谷犬猫歯科
〒158-0082
東京都世田谷区等々力1-34-18
シュロス等々力1F
TEL:03-3704-1014
。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。・゚・。