【口と鼻がつながってしまう!?】小型犬に多い「口腔鼻腔瘻」とは

こんにちは!世田谷区等々力にありますけいこくの森動物病院です🌳

今回は、特に高齢の小型犬によく見られる「口腔鼻腔瘻(こうくうびくうろう)」という病気についてご紹介します。聞き慣れない名前かもしれませんが、放置すると慢性的なくしゃみや鼻水、痛み、感染につながる重要な疾患です。

 

口腔鼻腔瘻とは?

「口腔鼻腔瘻」とは、口の中と鼻の中が異常な通路でつながってしまう状態のことです。普通は、口の中と鼻は骨や粘膜によってしっかりと仕切られているのですが、その仕切りが何らかの原因で破れてしまうと、口の中の食べ物や細菌が鼻に入り込み、炎症や感染を起こすようになります。

このような異常な通路を「瘻管(ろうかん)」と呼びます。

 

原因は?

口腔鼻腔瘻の原因はいくつかありますが、最も多いのは重度の歯周病です。

特に上あごの犬歯の根っこは鼻にとても近く、そこに炎症が進むと骨が溶けてしまい、鼻との間に穴があいてしまうのです。

その他の原因としては
• 口の中の腫瘍(がん)
• 外傷(ぶつけたり、事故など)
• 熱傷(感電や薬品の刺激)
• 手術後の合併症(特に抜歯)

などが挙げられます。

 

どんな症状が出るの?

口腔鼻腔瘻では、以下のような症状が見られます。
• 片側だけに続く鼻水(血や膿が混じることも)
• くしゃみが止まらない
• ごはんを食べにくそうにする
• 鼻から食べ物や水が出てくる
• お口のニオイがきつい(口臭)

これらの症状が見られる場合、見た目には分からなくても、口の中で深刻な問題が起きている可能性があります。

 

診断方法

正確な診断のためには、全身麻酔をかけて口の中を丁寧に検査する必要があります。

口腔鼻腔瘻が疑われる場合、歯周ポケット(歯の周りの溝)にプローブ(細い器具)を入れて深さを測ったり、注水試験(歯周ポケットに水を入れてみて、鼻から出てくるか調べる検査)を行います。写真のように鼻から水が出ると、口と鼻が繋がっているということになります。

場合によっては、CT検査や病理検査が必要になることもあります。

 

 

治療法

口腔鼻腔瘻の治療は、原因に応じて外科手術が基本となります。

歯周病が原因の場合

原因となった歯を抜歯し、瘻管の穴を閉じる手術(粘膜フラップ術)を行います。

ほとんどの場合、この処置でしっかりと治ります。再発防止のためには、他の歯の状態もチェックし、必要に応じて治療します。

腫瘍や外傷が原因の場合

これらのケースでは、穴が大きかったり、硬い口蓋の部分にできていたりして、閉鎖が難しい場合もあります。その際は、特殊な手術法やシリコン製の補填具などを使用することもあります。

 

放置するとどうなる?

瘻管を放置すると、鼻の中に細菌が入り続けて「慢性副鼻腔炎」を引き起こす恐れがあります。

また、炎症が広がると、顔面や眼の周囲に腫れや痛みが生じることもあり、生活の質が大きく低下してしまいます。

 

予防のポイント

一番大切なのは、歯周病を予防・早期発見することです!
• 毎日の歯磨き
• 定期的な歯科検診
• 口臭やくしゃみ、鼻水が気になったら早めに受診

特に小型犬(チワワ、トイプードル、ミニチュアダックスなど)やシニア犬は要注意です。

また、猫でも発生することがあるため、猫ちゃんの口のチェックもお忘れなく!

 

まとめ

• 「口腔鼻腔瘻」は、口と鼻が異常につながってしまう病気
• 多くは歯周病が原因で、小型犬や高齢犬に多い
• 症状は鼻水・くしゃみ・口臭など
• 治療には抜歯と外科手術が必要
• 早期発見と予防がカギ!

当院では、口腔内の精密検査や外科治療にも対応しています。愛犬・愛猫のくしゃみや鼻水が気になる場合は、どうぞお気軽にご相談ください。

 

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