猫ちゃんでごはんの食べ方が変になったり、口を触るのを嫌がる…もしかしたら歯肉口内炎(口腔内尾部口内炎) かも?

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こんにちは!世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です。🌳

 

 

猫の歯肉口内炎とは?症状・原因・治療法を徹底解説

最近、うちの子、ごはんを途中でやめる…」「口を触られるのを嫌がる…

それ、もしかしたら歯肉口内炎かもしれません。

猫の歯肉口内炎(特に口腔内尾部口内炎)は、進行性非常に強い痛みを伴う口の病気です。

食べたくても食べられない」――そんな苦痛を感じている猫が、実は少なくありません。

この記事では、そんな猫ちゃんに多い歯肉口内炎についてご紹介します!

早期発見・早期治療のきっかけにしていただけたら幸いです。

 

 

歯肉口内炎とは?

猫の歯肉口内炎とは、口の中の粘膜特に奥側)が慢性的に炎症を起こす疾患です。

特に奥歯の裏側から喉にかけての「口腔内尾部(びぶ)」に炎症が広がるケースを口腔内尾部口内炎と呼び、激しい痛みと生活の質の低下を招きます。

 

 

主な症状 ※要チェック!

以下のような症状が見られたら、すぐにご相談を。

  • よだれが多い粘つく(時に血が混じる
  • 食べたがるのに途中でやめる咀嚼に時間がかかる
  • 口臭がきつい
  • 前足で口をこすっている
  • 口周りが汚れている
  • 体重減少元気消失

💡特に「食欲はあるのに食べられない」は典型的なサインです。

 

 

原因は?なぜ猫に多いの?

猫の歯肉口内炎は、まだ明確に明らかになっていない病気です。

ただ、以下の要因やそれが重なって起こると考えられています。

主な関連因子

原因

説明

猫カリシウイルス(FCV)

ウイルスが口腔粘膜に影響を与え、炎症を誘発

猫免疫不全ウイルス(FIV)・猫白血病ウイルス(FeLV)

免疫力の低下が慢性炎症を助長

歯周病

プラーク歯石による細菌感染が引き金に

免疫の異常反応

体が“自分の歯垢”に過剰反応して攻撃してしまう

多頭飼育

感染症の蔓延リスクが高まる

🧬とくに免疫機能が関与していることが多く、完全な予防が難しいのが現実です。

 

 

どうやって診断するの?

視診・触診

肉眼での観察と、猫ちゃんの痛み反応を確認。

血液検査

ウイルス感染(FIV/FeLV)の有無、炎症マーカーなどを評価。

歯科X線検査(麻酔下)

歯周ポケット根尖病変破歯細胞性吸収病変の有無を確認。

必要に応じて病理検査

腫瘍免疫疾患との鑑別を目的に、組織検査を行うこともあります。

 

 

治療法:完治は難しくても「コントロール」はできる

猫の歯肉口内炎は長期管理が前提となる慢性疾患です。

ただし、適切な治療によって、痛みを取り除き、食事ができるようになることは十分可能です。

最も効果が高い治療:抜歯手術

  • 全臼歯抜歯(必要に応じて前歯も)
     → 70〜80%以上の猫で長期的な改善が見込めます。

〇なぜ抜歯?

→ 免疫が歯垢に過剰反応しているため、原因となる「歯」を取り除くことで炎症が改善するのです。

💊 内科的管理

  • ステロイド薬
  • 免疫抑制剤
  • 抗菌薬
  • 消炎鎮痛剤

※長期投与には副作用リスクがあるため、あくまで補助的な治療です。(当院では抜歯処置後、症状が完治しきらない場合に使用します)

🌿 その他の選択肢

  • サプリメント
  • レーザー治療
  • オゾン療法

 

 

予後と生活の質(QOL)

歯肉口内炎は完治が難しい場合もありますが、抜歯+ケアの併用で「痛みなく食べられる」状態に持っていくことができます。

  • ✅ 生活の質を大きく改善できる
  • ✅ 定期的な診察とケアでコントロール可能
  • ❗ 放置すれば衰弱飢餓脱水を引き起こすリスク

 

 

 飼い主さんへ:こんなときはすぐご相談を

  • ごはんを食べる量が減った選り好みが増えた
  • 口臭よだれが気になる
  • 口を開けて鳴く/嫌がる
  • 口腔内に赤み出血できものがある

💬「少し様子を見ようかな…」は危険です。進行性の病気なので、放置すればどんどん悪化します。

 

 

まとめ

ポイント

内容

症状

よだれ食欲減退口臭体重減少など

原因

ウイルス感染免疫異常歯周病など複合的要因

診断

視診血液検査歯科X線などで正確に評価

治療

抜歯が最も効果的。内科的治療やサプリも併用

予後

早期の対応で痛みを軽減し、食生活を改善可能

受診タイミング

食欲があるのに食べられないときは要注意!すぐに相談を

 

 

最後に:猫は「痛み」を隠します

猫は本能的に痛みや不調を隠す動物です。

だからこそ、「なんだかいつもと違うな」という小さなサインを見逃さないことが命を守る第一歩です。

私たちは、猫の“口の健康”と“快適な生活”を取り戻すお手伝いをしています。

どんな些細なことでも、お気軽にご相談ください。

 

 

当院では夏頃に歯科キャンぺーンも実施予定です。ぜひこの機会に気になることなどご相談ください!

 

 

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慢性潰瘍性歯周口内炎について

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東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、歯でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。


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けいこくの森動物病院  世田谷犬猫歯科

〒158-0082

東京都世田谷区等々力1-34-18

シュロス等々力1F

TEL:03-3704-1014

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