食欲はあるのに痩せていく…膵外分泌不全という病気を知っていますか?

こんにちは!世田谷区等々力にありますけいこくの森動物病院です🌳

今回は「膵外分泌不全(EPI)」という、少し難しい名前の病気についてご紹介します。

たくさん食べているのに体重が減る、便の量が多い、脂っぽい便が出る…そんな症状がある子は要注意かもしれません。

 

膵外分泌不全ってどんな病気?

「膵外分泌不全」とは、すい臓(膵臓)が十分に消化酵素を出せなくなり、食べ物の消化吸収がうまくいかなくなる病気です。

すい臓はとても大切な臓器で、「外分泌」と呼ばれる部分では食べ物を消化するための酵素(たんぱく質を分解するトリプシン、脂肪を分解するリパーゼなど)を分泌しています。

膵外分泌不全では、この酵素が失われることで、消化不良が起こり、体重が減ったり、栄養がうまく取れなくなります。

体は食べ物を取り込もうと頑張って食欲はあるのに、吸収ができない…という、とてもつらい状態です。

 

どんな犬に多いの?

膵外分泌不全は特に若い犬〜中年の犬で見られますが、犬種によって原因が少し違います。

ジャーマン・シェパード・ドッグ、ラフ・コリー、イングリッシュ・セターなどでは、若いうちから「膵腺房細胞萎縮(PAA)」という遺伝的な体質で発症することがあります。

これは自己免疫が関係していると考えられていて、膵臓の細胞が徐々に減ってしまう病気です。

一方で、ミニチュア・シュナウザーなどでは、慢性的な膵炎(すい炎)が原因になることがあります。高齢になってから発症することもあります。

猫でもごく稀に起こりますが、犬のほうが圧倒的に多い病気です。

 

よくある症状と注意すべきサイン

膵外分泌不全の子によく見られる症状は、以下のようなものです。

✅ 食欲はとてもあるのに痩せていく

✅ うんちの量が多い、軟便や脂っぽい便が出る

✅ 被毛のツヤが悪い、パサパサしている

✅ 元気がない、疲れやすい

✅ 糞食(うんちを食べてしまう)、異常な食欲

特に「いっぱい食べているのに痩せる」というのは、飼い主さんが驚く大きな特徴です。

 

どうやって診断するの?

血液検査や便の検査を組み合わせて診断します。

特に重要なのが「TLI(膵特異的リパーゼ)」という血液検査で、膵外分泌不全では値がとても低く出ます。

また、膵臓が出す内因子の不足で、ビタミンB12(コバラミン)の値が下がることもあります。

逆に、腸内細菌の増殖があると、葉酸の値が上がることもあります。

他にも:

✅ 超音波で膵臓の形や大きさを確認

✅ 糞便の染色検査で脂肪や未消化物の有無をチェック

なども行います。

 

治療と日常生活のケア

膵外分泌不全の治療の基本は「足りない消化酵素を補う」ことです。

🐶 消化酵素(パンクレアチンなど)をごはんに混ぜて与えます。

🐶 便の状態が改善しない場合は、量や製剤を調整します。

🐶 腸内細菌の増殖が疑われるときは、抗菌薬を使うこともあります。

🐶 食事は「高消化性」で、脂肪や繊維を控えめにしたフードを使うことが多いです。

この病気は、一度治療を始めても、酵素の量や種類の調整が必要になることもあります。

だからこそ、定期的な診察と便のチェック、体重測定がとても大切です。

 

飼い主さんへのお願い

「たくさん食べているのに痩せる」「便が多い、脂っぽい」など、気になる症状があれば、早めにご相談ください。

当院では:

✅ 血液検査

✅ 超音波検査

✅ 食事指導と消化酵素の処方

✅ 抗菌薬の併用治療

など、総合的な診断と治療が可能です。

早く見つけてあげることで、ワンちゃんの生活の質を大きく改善できます😊

 

最後に

膵外分泌不全は珍しい病気ですが、早く適切に治療すれば、多くの子が元気を取り戻せます。

「食欲はあるのに痩せてきた」「便が多くて脂っぽい」など、少しでも不安なことがあれば、お気軽にけいこくの森動物病院までご相談ください✨

 

 

東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、歯でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。


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けいこくの森動物病院  世田谷犬猫歯科

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