全身のリンパ節が腫れている…|犬の多中心性リンパ腫とは?

こんにちは!世田谷区等々力のけいこくの森動物病院です。

みなさんは「リンパ腫(りんぱしゅ)」という病気をご存じでしょうか?
これは、人間にもある「リンパ球のがん(悪性腫瘍)」の一種で、犬でも比較的よく見られる病気のひとつです。今回は、特に犬で多く見られる「多中心性リンパ腫」について、症状や診断、治療法までご紹介します。

 リンパ腫ってどんな病気?

リンパ腫は、リンパ球という免疫細胞ががん化した病気です。体中にあるリンパ節やリンパ管、脾臓(ひぞう)、肝臓、骨髄、消化管など、さまざまな場所にできる可能性があります。

その中でも、多中心性リンパ腫(たちゅうしんせいりんぱしゅ)は、全身のリンパ節が腫れてくるタイプで、犬に多く見られます。発見が比較的しやすい分、早期に気づいてあげることが重要です。

どんな犬に多いの?

多中心性リンパ腫は、中高齢(5〜9歳以降)の犬に多く発生します。犬種による差も多少あり、ボクサー、ゴールデン・レトリーバー、バセット・ハウンド、ラブラドール・レトリーバーなどはややリスクが高いと言われています。

ただし、どんな犬でもかかる可能性があるため、日々の健康チェックがとても大切です。

多中心性リンパ腫の主な症状

多中心性リンパ腫は、全身のリンパ節が腫れるのが最大の特徴です。具体的には次のような症状が見られます。

【初期症状】

  • 首やあごの下に「こりこりしたしこり」がある

  • 元気や食欲が少し落ちてきた

  • 体重が減ってきた

【進行すると…】

  • リンパ節がさらに大きくなり、触れるとゴロゴロしてくる

  • 脾臓や肝臓が腫れ、腹部が膨らんだように見える

  • 発熱、貧血、嘔吐、下痢、呼吸が苦しそうになることも

「なんとなく元気がない」「最近痩せてきた」というサインも、実はリンパ腫の初期症状かもしれません。早めの受診が命を救うカギになります。

診断方法

当院では、以下のような方法でリンパ腫の診断を行います。

① 視診・触診

首や足の付け根、膝の後ろなどにあるリンパ節を確認します。

② 細胞診(さいぼうしん)

腫れているリンパ節に細い針を刺して細胞を採取し、がん細胞の有無を調べます。

③ 血液検査・レントゲン・超音波

全身の状態や内臓への広がりを調べます。特に、脾臓や肝臓、胸腔や腹腔内への転移の有無は重要なポイントです。

④ 病理検査・免疫染色(必要に応じて)

細胞を詳しく分類し、がんのタイプや悪性度(グレード)を確認します。

治療法と予後について

犬のリンパ腫は、人間のがん治療のように、抗がん剤を使うのが標準的な治療法です。

▼ 抗がん剤治療(多剤併用療法)

数種類の抗がん剤を、週1回〜2週に1回のペースで投与します。治療期間は約6か月が一般的です。

▼ 副作用は?

吐き気や下痢、元気消失などが見られることもありますが、多くは一時的で、生活の質を保ちながら治療できることが多いです。

▼ 予後(よご)・寿命は?

抗がん剤治療を行うことで、平均で約6か月〜1年程度の延命が可能とされます。中には2年以上元気に過ごす子もいます。

一方で、治療をしなかった場合は、1〜2か月で進行するケースが多く、早期の診断・治療がとても大切です。

飼い主さんへのメッセージ

「がん」と聞くととても不安になるかと思います。でも、犬のリンパ腫は比較的治療に反応しやすいがんのひとつです。
「元気がない」「リンパ節が腫れている気がする」と思ったら、すぐに動物病院で診てもらうことが何よりも大切です。

最後に

犬の多中心性リンパ腫は、早期に見つけてあげることで治療の選択肢も広がります。
「いつもとちがうな」と感じたら、ぜひ当院までお気軽にご相談ください。

東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、お困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。

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けいこくの森動物病院  世田谷犬猫歯科

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