2025/06/19
こんにちは!世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です。
今回はしっぽがべたついていたり、毛艶が悪いことや脱毛などの症状がみられるスタッドテイル(尾腺過形成)についてご紹介します!
【猫のしっぽがベタベタ?】“スタッドテイル(尾腺過形成)”とは?
そのしっぽの「脂」、実は病気かもしれません
「猫のしっぽの付け根がいつもベタベタしてる」
「触ると皮脂でぬるぬるする」
「毛が抜けて、地肌が黒っぽく見える」
このような症状が見られた場合、“スタッドテイル(尾腺過形成)”という皮膚のトラブルが隠れているかもしれません。
スタッドテイルは、特に未去勢のオス猫に多く見られる皮脂腺の異常で、見た目の違和感以上に、動物に不快感や皮膚炎などのリスクを伴う疾患です。
■ スタッドテイルとは?:皮脂腺のトラブルによる皮膚病
しっぽの付け根にある「尾腺(びせん)」と呼ばれる皮脂腺が異常に活性化し、皮脂が過剰に分泌されることで起こる皮膚疾患です。
尾腺とは?
- しっぽの背側(上側)の付け根に位置する特殊な皮脂腺
- 匂いやマーキングに関与しているとされています
- 特に性ホルモン(テストステロン)の影響を受けやすいです
なぜ「Stud Tail」と呼ばれる?
「Stud」とは英語で“種オス”の意味で、未去勢のオス猫に多く発生することが由来です。
どんな動物に多いの?リスクが高いのはこのタイプ
【猫】
- 未去勢のオス猫で圧倒的に多くみられます
- 長毛種(例:ペルシャ、ノルウェージャン、ヒマラヤンなど)
- 肥満や高齢、グルーミングが不十分な猫など
【犬】
- 猫ほど頻繁ではありませんが、柴犬、スピッツ、シェルティなどで見られることがあります
- 中~大型犬に多く報告されています
飼い主さんが気づく症状とは?
✔ しっぽの付け根にこんな変化はありませんか?
- 触ると脂っぽい・ベタつく
- 被毛が束になっている、毛づやが悪い
- 黒ずみやかさぶたのようなものがある
- 地肌が見える、脱毛が目立つ
- 猫がしっぽを舐め続けたり、噛んだりしている
- しっぽの付け根が赤くなっている、炎症がある
➡ ひとつでも当てはまる場合は、スタッドテイルの可能性があります。
原因:スタッドテイルはなぜ起こる?
① ホルモンの影響
- テストステロン(男性ホルモン)が尾腺の活動を活発にします
- 未去勢のオス猫に多いのはこのため
② 皮脂分泌の異常
- 体質や加齢で皮脂腺の過形成が起こる
- 毛穴が詰まり、皮脂が酸化して炎症を引き起こす
③ グルーミング不良
- 肥満や関節痛でしっぽの付け根を舐められなくなると、皮脂が蓄積
- 長毛種では毛にからまりやすく、異常に気づきにくい
診断:動物病院ではどう調べるの?
スタッドテイルは、診察と簡単な検査で診断できます。
主な診断方法
方法 |
内容 |
視診・触診 |
皮脂のたまり方、脱毛、炎症の有無を確認 |
皮膚検査 |
スクラッチやテープ法で細菌・真菌・ダニなどの可能性を排除 |
細胞診 |
脂漏性皮膚炎や腫瘍性変化の有無をチェック |
必要に応じて |
血液検査やホルモン検査も併用 |
治療法:軽症から重症まで、適切なケアが鍵!
スタッドテイルの治療は、症状の重さによって治療法が異なります。
軽症(ベタつき・黒ずみのみ)
- 薬用シャンプーによる洗浄
- 例:ベンジルパーオキサイド、サリチル酸配合シャンプーなど
- 患部の毛刈りで皮脂の除去を容易に
中等度(脱毛や軽い炎症)
- シャンプー+外用薬(抗菌・消炎ローション)
- 清拭ケアを併用
重症(赤み、かゆみ、出血がある)
- 内服薬(抗生物質・消炎剤)を処方
- 化膿があれば抗生剤を継続
- 根治を目指す場合は去勢手術を検討
再発予防:ご家庭でできる5つのケア
- 定期的な薬用シャンプー(月2〜4回)
- しっぽの付け根の毛を短く保つ
- 毎日のブラッシングで皮脂の除去
- 肥満予防・グルーミング力の維持
- 去勢手術の検討(オス猫の場合)
放置するとどうなる?怖い合併症
スタッドテイルは命に関わる病気ではありませんが、放置すると深刻な皮膚トラブルへと発展します。
- 脂漏性皮膚炎
- 二次感染(細菌・真菌)
- 自傷による潰瘍
- 膿瘍化し、痛み・不快感が強くなる
- まれに腫瘍性病変に移行するケースも報告あり
➡「ただの皮脂」と油断せず、症状が軽いうちに相談することが大切です。
まとめ:しっぽの「ちょっとした違和感」を見逃さないで
ポイント |
解説 |
放置で重症化・感染のリスク |
✔ 二次感染や皮膚炎、かゆみなど生活の質を下げる要因になります |
治療とケアで改善可能 |
✔ 正しい診断と継続的なケアで、見た目も快適さも取り戻せます |
自宅ケア+動物病院でのフォロー |
✔ 獣医師のアドバイスに基づいたケアで再発防止につながります |
「しっぽがベタついてるだけだから、たいしたことない」
そう思っているうちに症状が進行し、猫がかゆがってしきりに舐めたり、毛が抜けて地肌が赤くただれたり──
そんなケースは実際に少なくありません。
スタッドテイルは早期発見・早期治療によって、非常に高い確率で改善する皮膚疾患です。
一度なってしまっても、しっかりケアすれば快適な生活を取り戻すことができます。
「この子のしっぽ、ちょっとおかしいかも…」
「他の病気じゃないか心配」
「シャンプーやケアの方法がわからない」
そんなときは、小さなことでも構いません。まずはご相談ください。
当院では、月に一度皮膚科の先生をお呼びしての診察も行っております。
東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、歯でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。
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けいこくの森動物病院 世田谷犬猫歯科
〒158-0082
東京都世田谷区等々力1-34-18
シュロス等々力1F
TEL:03-3704-1014
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