しっぽがベタベタ、毛艶が悪い…もしかしてスタッドテイル(尾腺過形成)かも?

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こんにちは!世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です。

今回はしっぽがべたついていたり、毛艶が悪いことや脱毛などの症状がみられるスタッドテイル(尾腺過形成)についてご紹介します!

 

【猫のしっぽがベタベタ?】“スタッドテイル(尾腺過形成)”とは?

そのしっぽの「脂」、実は病気かもしれません

「猫のしっぽの付け根がいつもベタベタしてる」

「触ると皮脂でぬるぬるする」

「毛が抜けて、地肌が黒っぽく見える」

このような症状が見られた場合、“スタッドテイル(尾腺過形成)”という皮膚のトラブルが隠れているかもしれません。

スタッドテイルは、特に未去勢のオス猫に多く見られる皮脂腺の異常で、見た目の違和感以上に、動物に不快感や皮膚炎などのリスクを伴う疾患です。

 

スタッドテイルとは?:皮脂腺のトラブルによる皮膚病

しっぽの付け根にある「尾腺(びせん)」と呼ばれる皮脂腺が異常に活性化し、皮脂が過剰に分泌されることで起こる皮膚疾患です。

尾腺とは?

  • しっぽの背側(上側)の付け根に位置する特殊な皮脂腺
  • 匂いマーキングに関与しているとされています
  • 特に性ホルモンテストステロン)の影響を受けやすいです

なぜ「Stud Tail」と呼ばれる?

「Stud」とは英語で“種オス”の意味で、未去勢のオス猫に多く発生することが由来です。

 

 

どんな動物に多いの?リスクが高いのはこのタイプ

【猫】

  • 未去勢のオス猫で圧倒的に多くみられます
  • 長毛種(例:ペルシャノルウェージャンヒマラヤンなど)
  • 肥満高齢グルーミングが不十分な猫など

【犬】

  • 猫ほど頻繁ではありませんが、柴犬スピッツシェルティなどで見られることがあります
  • 中~大型犬に多く報告されています

 

 

飼い主さんが気づく症状とは?

✔ しっぽの付け根にこんな変化はありませんか?

  • 触ると脂っぽいベタつく
  • 被毛が束になっている毛づやが悪い
  • 黒ずみかさぶたのようなものがある
  • 地肌が見える脱毛が目立つ
  • 猫がしっぽを舐め続けたり噛んだりしている
  • しっぽの付け根が赤くなっている、炎症がある

➡ ひとつでも当てはまる場合は、スタッドテイルの可能性があります。

 

 

原因:スタッドテイルはなぜ起こる?

① ホルモンの影響

  • テストステロン(男性ホルモン)が尾腺の活動を活発にします
  • 未去勢のオス猫に多いのはこのため

② 皮脂分泌の異常

  • 体質加齢皮脂腺の過形成が起こる
  • 毛穴が詰まり皮脂が酸化して炎症を引き起こす

③ グルーミング不良

  • 肥満関節痛でしっぽの付け根を舐められなくなると、皮脂が蓄積
  • 長毛種では毛にからまりやすく、異常に気づきにくい

 

 

診断:動物病院ではどう調べるの?

スタッドテイルは、診察と簡単な検査で診断できます。

主な診断方法

方法

内容

視診・触診

皮脂のたまり方脱毛、炎症の有無を確認

皮膚検査

スクラッチやテープ法で細菌・真菌・ダニなどの可能性を排除

細胞診

脂漏性皮膚炎や腫瘍性変化の有無をチェック

必要に応じて

血液検査やホルモン検査も併用

 

 

 

治療法:軽症から重症まで、適切なケアが鍵!

スタッドテイルの治療は、症状の重さによって治療法が異なります。

軽症(ベタつき・黒ずみのみ

  • 薬用シャンプーによる洗浄
    • 例:ベンジルパーオキサイド、サリチル酸配合シャンプーなど
  • 患部の毛刈りで皮脂の除去を容易に

中等度(脱毛や軽い炎症

  • シャンプー+外用薬(抗菌・消炎ローション)
  • 清拭ケアを併用

重症(赤み、かゆみ、出血がある

  • 内服薬(抗生物質・消炎剤)を処方
  • 化膿があれば抗生剤を継続
  • 根治を目指す場合は去勢手術を検討

 

 

再発予防:ご家庭でできる5つのケア

  1. 定期的な薬用シャンプー(月2〜4回)
  2. しっぽの付け根の毛を短く保つ
  3. 毎日のブラッシングで皮脂の除去
  4. 肥満予防グルーミング力の維持
  5. 去勢手術の検討(オス猫の場合)

 

 

放置するとどうなる?怖い合併症

スタッドテイルは命に関わる病気ではありませんが、放置すると深刻な皮膚トラブルへと発展します。

  • 脂漏性皮膚炎
  • 二次感染細菌・真菌
  • 自傷による潰瘍
  • 膿瘍化し、痛み・不快感が強くなる
  • まれに腫瘍性病変に移行するケースも報告あり

➡「ただの皮脂」と油断せず、症状が軽いうちに相談することが大切です。

 

 

まとめ:しっぽの「ちょっとした違和感」を見逃さないで

ポイント

解説

放置で重症化・感染のリスク

✔ 二次感染や皮膚炎、かゆみなど生活の質を下げる要因になります

治療とケアで改善可能

✔ 正しい診断と継続的なケアで、見た目も快適さも取り戻せます

自宅ケア+動物病院でのフォロー

✔ 獣医師のアドバイスに基づいたケアで再発防止につながります

「しっぽがベタついてるだけだから、たいしたことない」

そう思っているうちに症状が進行し、猫がかゆがってしきりに舐めたり、毛が抜けて地肌が赤くただれたり──

そんなケースは実際に少なくありません。

スタッドテイルは早期発見・早期治療によって、非常に高い確率で改善する皮膚疾患です。

一度なってしまっても、しっかりケアすれば快適な生活を取り戻すことができます。

 

「この子のしっぽ、ちょっとおかしいかも…」

「他の病気じゃないか心配」

「シャンプーやケアの方法がわからない」

そんなときは、小さなことでも構いません。まずはご相談ください。

当院では、月に一度皮膚科の先生をお呼びしての診察も行っております。

 

 

 

 

東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、歯でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。


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けいこくの森動物病院  世田谷犬猫歯科

〒158-0082

東京都世田谷区等々力1-34-18

シュロス等々力1F

TEL:03-3704-1014

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