2025/06/16
こんにちは!世田谷区等々力のけいこくの森動物病院です
ある日突然、ワンちゃんやネコちゃんの首元に「ふくらみ」ができて、びっくりして来院される飼い主さまがいらっしゃいます。そのふくらみの正体の一つに、「唾液腺嚢胞(だえきせんのうほう)」という病気があります。
聞き慣れない名前かもしれませんが、決して珍しい病気ではありません。今回は、そんな「唾液腺嚢胞」について、動物病院の視点から解説していきます。
そもそも「唾液腺」ってなに?
唾液腺は、その名の通り「唾液(よだれ)」をつくる器官です。人間と同じように、動物にも複数の唾液腺が存在します。
主な唾液腺は以下の通りです:
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下顎(かがく)腺:下あごの奥にある大きな唾液腺 
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舌下(ぜっか)腺:舌の下あたりにある小さめの唾液腺 
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頬骨(きょうこつ)腺:目の下、頬のあたりに位置 
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耳下(じか)腺:耳の下のあたりにある 
これらの唾液腺は、小さな管(唾液管)を通して、口の中へ唾液を送り出しています。
「唾液腺嚢胞」ってどんな病気?
唾液腺嚢胞とは、唾液腺や唾液の通り道に異常が生じ、唾液が組織の中に漏れ出してしまう病気です。漏れた唾液が体内にたまって、ゼリーのような袋状(嚢胞)になります。
この袋は皮膚の下や口の中にふくらみとして現れます。特に下顎腺・舌下腺が関係していることが多く、首の下側(顎の下)に柔らかいしこりができることが典型的です。
主な症状
唾液腺嚢胞は、ゆっくりとしたスピードで大きくなるのが特徴です。痛みはあまりありませんが、ふくらみが大きくなると様々な影響が出てきます。
よく見られる症状:
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首の下にふくらみができる(ゼリーのように柔らかい) 
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口の中にできて、舌が押されて食べにくそう 
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呼吸が苦しそう(大きくなりすぎた場合) 
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よだれが多い、口臭がある 
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ごはんを食べにくそうにしている 
また、嚢胞が一時的に破れて小さくなることもありますが、自然に治ることは少なく、何度も繰り返す傾向があります。
原因は?
はっきりした原因がわからないことも多いですが、以下のような要因が関係すると考えられています:
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外傷や打撲による唾液管の損傷 
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先天的な唾液腺・唾液管の異常 
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慢性的な炎症や感染 
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一部の犬種(特に小型犬)では体質的になりやすいケースもあります 
どんな動物に多いの?
犬:
唾液腺嚢胞は、犬で多く見られる病気です。特に次のような犬種で報告が多い傾向があります:
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プードル 
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ダックスフント 
年齢は若齢から高齢まで様々で、中年齢以降に多い印象があります。
猫:
猫でも起こることはありますが、犬に比べるとまれです。ただし、外傷などがきっかけで発生することがあります。
診断方法
唾液腺嚢胞の診断には、以下のような検査を組み合わせて行います。
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視診・触診:特徴的なふくらみや柔らかさを確認 
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細胞診(しぼり出した中身の検査):中身は唾液と確認されることが多いです 
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超音波検査:嚢胞の場所や大きさ、内容物の状態を調べる 
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X線やCT:必要に応じて、他の腫瘍などとの鑑別をします 
治療法は?
唾液腺嚢胞は自然に治ることはほとんどなく、基本的には外科的な治療が必要です。
主な治療法は手術:
■ 唾液腺の摘出手術
問題のある唾液腺(特に下顎腺・舌下腺)を取り除く手術が一般的です。原因となる唾液の漏れを根本から断つことで、再発を防ぎます。
■ 嚢胞の排液だけでは不十分
「ふくらみを針で抜いて小さくするだけ」という処置も一時的には可能ですが、ほとんどのケースで再発します。根治のためには唾液腺そのものを摘出することが大切です。
手術は安全?リスクは?
多くの場合、比較的安全な手術ですが、次のような注意点があります:
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術後に一時的な腫れや内出血が見られることがあります 
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顔まわりの手術なので、神経(特に顔面神経)への注意が必要 
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高齢や持病のある子では、麻酔のリスク評価が必要 
まとめ:早めの診断・治療が大切です
唾液腺嚢胞は、命に関わるような急性の病気ではありませんが、放っておくとどんどん大きくなり、生活の質を下げてしまう可能性が高い病気です。
首にふくらみを見つけたり、口の中に違和感がありそうな様子が見られた場合は、早めに動物病院で診てもらいましょう。
東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、歯でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。
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けいこくの森動物病院 世田谷犬猫歯科
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