2025/09/02
こんにちは!世田谷区等々力のけいこくの森動物病院です。
本日は、犬のまぶたにできる「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」についてご紹介します。
「目のまわりにできものが…」
「まぶたが腫れているけど痛がってはいない」
そんな症状に心当たりはありませんか?
人間でも起こる霰粒腫は、犬でもよく見られる眼のトラブルのひとつです。放っておいても良い場合もありますが、状態によっては手術が必要になることも。
今回は、霰粒腫の原因や症状、治療法、そして予防のポイントまで、飼い主さんにわかりやすく解説していきます。
霰粒腫(さんりゅうしゅ)とは?
霰粒腫とは、まぶたの中にある「マイボーム腺」という皮脂腺が詰まり、炎症やしこりができる病気です。
マイボーム腺とは?
まぶたのふちに並んでいる皮脂腺で、涙の蒸発を防ぐために油分を分泌しています。
このマイボーム腺が詰まると、分泌物が排出されずにたまり、やがてしこり(肉のかたまり)になってしまいます。これが霰粒腫です。
霰粒腫の原因
犬の霰粒腫の主な原因は以下のようなものが挙げられます。
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マイボーム腺の詰まり
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皮脂の過剰分泌
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慢性のまぶたの炎症
症状
霰粒腫の症状は、次のような特徴があります。
主な症状
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まぶたに小さなしこりができる(触るとコリコリする)
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赤みや腫れがあることも
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基本的に痛みやかゆみは少ない
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しこりの大きさは数ミリ~1センチ程度
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目ヤニが増えることもある
なお、細菌感染を併発した場合は、「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」と呼ばれ、痛みや膿、発熱、強い腫れなどが出ることがあります。
霰粒腫の診断
診断は、視診と触診でおおよそ判断できます。獣医師がまぶたの状態を観察し、腫瘍や異物との鑑別を行います。
しこりが大きい場合や、長く治らない場合は、針で細胞を取って調べる「細胞診」や「生検(組織検査)」を行うこともあります。
治療法
霰粒腫の治療は、しこりの大きさ・状態・進行具合によって異なります。
① 自然治癒を待つ
小さく、炎症が少ない場合は、数週間で自然に収縮してなくなることがあります。
→ この場合は、目の周りを清潔に保ちつつ経過観察します。
② 温罨法(温める処置)
しこりが小さい場合には、温めて血行をよくすることで、詰まりが改善することがあります。
→ ぬるま湯で湿らせたタオルなどで1日2〜3回、5〜10分温めます。
※熱すぎると火傷のリスクがあるので注意!
③ 点眼・内服薬による治療
炎症や感染が疑われる場合には、抗炎症薬や抗菌薬の点眼、内服薬を使います。
→ 麦粒腫を併発している場合や、腫れが強いときに使用されます。
④ 外科手術(切除)
しこりが大きい、自然に治らない、繰り返す、視界に影響しているといった場合は、手術で切除します。
→ 通常は局所麻酔または全身麻酔で、外来手術が可能です。
→ 術後は、エリザベスカラーの装着や内服治療が必要になることも。
霰粒腫と似ている病気
しこりがあるからといって、必ずしも霰粒腫とは限りません。他の病気と間違えやすいため、自己判断は禁物です。
間違えやすい病気の例:
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まぶたの腫瘍(良性・悪性ともに)
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アレルギー性結膜炎
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外傷性の腫れ
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眼瞼炎(まぶたの炎症)
※特に高齢の犬では、悪性腫瘍(がん)の可能性もあるため、早めに動物病院での診察をおすすめします。
飼い主さんができる予防法
霰粒腫は予防が難しいこともありますが、日頃のケアでリスクを減らすことができます。
予防のポイント
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目元を清潔に保つ
目ヤニや汚れはこまめに拭き取りましょう。 -
定期的な顔周りのグルーミング
長毛種は特に、毛が目に入らないように注意。 -
栄養バランスのとれた食事
皮脂分泌の乱れを防ぎます。 -
アレルギー体質の場合は早めに対策を
かゆみや炎症があると、目元をこすって悪化しやすくなります。 -
定期的な健康診断
早期発見・早期治療のためには、年に1~2回の健診が理想的です。
最後に:しこりを見つけたら、まずはご相談を!
犬の霰粒腫は、命にかかわる病気ではありませんが、目のトラブルは悪化すると生活の質を大きく下げてしまいます。
特にシニア犬や、顔が短い犬種では再発を繰り返すこともあるため、早期の対応がとても大切です。
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