猫の若齢期歯周炎について

こんにちは!世田谷区等々力のけいこくの森動物病院です。

今回は、若い猫に見られる「若齢期歯肉炎(じゃくれいきしにくえん)」についてご紹介します。
「まだ1歳にもなっていないのに、歯ぐきが赤く腫れてる…」
「若いのにお口がにおう」
こんな症状が見られたら、もしかすると“若齢期歯肉炎”かもしれません。
今回は、この病気の原因・症状・治療法・予防方法まで、飼い主の皆さまにわかりやすく解説いたします。

若齢期歯肉炎とは?

「若齢期歯肉炎」とは、生後6か月~2歳前後の若い猫に見られる歯ぐきの炎症のことを指します。特に永久歯への生え変わりが終わる時期に多く発生します。明確な原因はわかっていませんが、猫の免疫反応が関与していると考えられ、遺伝的な素因が背景にあるようです。

この歯肉炎は、一時的な症状で済むこともありますが、重症化すると歯周病につながる口腔トラブルを抱える原因になります。

主な症状

若齢期歯肉炎の症状は、以下のようなものがあります。

  • 歯肉の赤みや腫れ(特に奥歯の周辺)

  • 口臭がきつくなる

進行すると、歯垢と歯石の急速な増大が見られ、歯を支える顎の骨(歯槽骨)の喪失につながることがあります。

原因は?

若齢期歯肉炎の原因は多因子的で、完全に解明されているわけではありませんが、主に以下のような要因が考えられます。

 口腔内細菌の増加

若い猫の口の中には様々な細菌が生息しています。これらが異常に繁殖すると、歯肉に炎症を起こす可能性があります。

 免疫系の異常反応

一部の猫では、過剰な免疫反応によって自身の歯肉を攻撃してしまう「自己免疫性炎症」が関与していると考えられています。

ウイルス感染

猫白血病ウイルス(FeLV)や猫免疫不全ウイルス(FIV)など、ウイルス感染が関係している場合もあります。

若齢期歯肉炎の診断方法

動物病院では、以下の方法で診断を行います。

  • 視診・触診:歯肉の赤みや腫れ、出血、痛みの有無を確認

  • 口腔内X線検査:歯根や顎の骨に異常がないかを調べる

  • 血液検査:ウイルス感染の有無や、全身状態を評価

  • 全身麻酔下での口腔内チェック:歯周ポケットの深さなど歯周病の有無などを詳しく確認

 

治療法について

若齢期歯肉炎の治療は、症状の重さや原因によって異なりますが、主に以下のような方法がとられます。

 歯石除去(スケーリング)

軽度であれば、全身麻酔下で歯石を除去し、歯肉の炎症を抑えることで改善が期待できます。

抗炎症薬や抗生物質の投与

症状が強い場合は、消炎剤や抗生剤を使って一時的に症状を和らげます

抜歯治療(重度の場合)

口腔内の慢性炎症が進行し、他の治療で効果が出ない場合、一部または多くの歯を抜歯することがあります。これは見た目はショックかもしれませんが、痛みが大幅に改善し、生活の質が向上することが多いです。

 

対策

若齢期歯肉炎の予防や再発防止には、日頃のケアがとても重要です。

1. デンタルケアの習慣づけ

  • 歯ブラシやガーゼでの歯みがきを子猫のころから習慣にすると◎

2. 定期的な歯科検診

  • 歯が生え変わる時期(生後5~8か月ごろ)には、必ず歯科チェックを

  • 年に1~2回の定期健診で早期発見・早期対応が可能です

3. 免疫力を下げないようにする

  • ストレスの少ない環境づくり

  • 栄養バランスのとれた食事

最後に:猫の若齢期歯肉炎は早期対応がカギ!

若齢期歯肉炎は、適切な治療とケアを行うことで、多くの猫が健康な口内環境を取り戻すことができます。
放置してしまうと慢性化して治療が難しくなってしまうこともあるため、「なんだか口が臭うかも」「痛そうにしてるな」と感じたら、お早めに動物病院にご相談ください。

当院では、猫の歯科診療に力を入れております。

東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、歯でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。

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けいこくの森動物病院  世田谷犬猫歯科

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