2025/05/25
こんにちは!世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です🌳
今回はわんちゃんねこちゃんで固いモノを噛んだり、口周りをどこかにぶつけた衝撃で発生する「単純歯冠破折(閉鎖性歯冠破折)」についてご紹介します!
「あれ?歯が欠けてる?」そんな時に知っておきたい【単純歯冠破折】のこと
見た目では分からない“静かなトラブル”にご用心
ある日、おうちのわんちゃんがいつものように大好きなおやつをかじっていると、ポロッと何か白いかけらが落ちてきた…。
よく見てみると、どうやら歯の一部が欠けているようです。けれど本人は特に痛そうな様子もなく、いつも通り元気。
「こんなことで病院に行くべき?」「ただの欠けだから大丈夫?」
このようなご相談は、多く寄せられます。
実はそれ、「単純歯冠破折(たんじゅんしかんはせつ)」という状態かもしれません。
今回は、犬や猫によく見られる歯のトラブル「単純(閉鎖性)歯冠破折」についてご説明します。
そもそも「単純歯冠破折」って何?
歯は、外側からエナメル質・象牙質・歯髄(神経)という三層構造になっています。
単純歯冠破折とは、歯の表面が一部欠けてしまっている状態で、神経(歯髄)までは達していない破折のことを指します。
「閉鎖性」というのは、破折部分から内部の神経が外に露出しておらず、細菌感染のリスクがいくらか低い状態を意味します。
一方で、神経まで達している破折は「複雑歯冠破折(開放性歯冠破折)」と呼ばれ、痛みや感染のリスクが格段に高くなります。
なぜ歯が欠けるの?―原因は意外な“日常の習慣”
犬や猫の歯は見た目以上に繊細です。以下のような日常的な行動が破折の原因になることがあります。
■ 硬すぎるおもちゃ・おやつ
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鹿の角、蹄(ひづめ)、牛骨、天然石入りのおもちゃなどは破折リスク大。
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硬さの目安:「子供用ハサミで容易に切れない物」は危険とされています。
■ ケージや金属の柵を噛む
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ストレスや癖で噛んでしまう子は要注意。特に前歯にダメージが集中しがちです。
■ 高所からの落下や外傷
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猫ではケンカや転落、犬では交通事故などで破折するケースも。
■ 歯の構造的な問題
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エナメル質形成不全、咬合異常(噛み合わせのズレ)などもあります。
痛がらないのに大丈夫?―気づきにくいけど放置NG
単純歯冠破折は「神経が見えていないから痛みも少ない」場合があり、犬猫が普通にご飯を食べていると飼い主さんも気づきにくいのが現実です。
しかし、放置すると内部の神経がじわじわと死んでいき、以下のような深刻な二次トラブルに発展することがあります。
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歯髄壊死 → 細菌感染 → 根尖膿瘍(あごの腫れ、膿)
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顎の骨髄炎(骨の内部に炎症が広がる)
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慢性的な痛み → 食欲低下、行動異常
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歯周病や他の歯への波及
特に厄介なのが、「痛みがないまま静かに進行する」ことです。
無症状=無害ではないというのが、歯の病気の怖いところです。
どうやって診断するの?―見た目だけではわかりません
診断には、専門的な口腔内診察と歯科用レントゲン撮影が欠かせません。
診断の流れ
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視診・触診:破折の程度や神経露出の有無を確認
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歯科レントゲン:根の状態、感染・壊死の有無を確認(麻酔下)
- 全体的な口腔評価:歯周病や他の破折も同時に調べます。
レントゲンで根尖病変(根の先に膿の袋)が見つかることもあります。
治療法:歯を「残す」か「抜く」かの判断は慎重に
破折した歯が「まだ生きている」場合と「すでに神経が死んでいる」場合で治療は大きく異なります。
■ 歯髄が生きている場合
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レジンなどでの修復
破折部を削って充填し、細菌の侵入を防ぎます。 -
定期モニタリング
数ヶ月ごとに歯科レントゲンで経過観察。
■ 歯髄が死んでいる、または感染がある場合
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根管治療(歯の神経を除去し密封)
設備と技術が必要ですが、歯を残す選択肢。 -
抜歯
状態が悪い場合や、根管治療が困難な場合。
治療には全身麻酔が必要なため、事前の血液検査・身体検査も行います。
予防法:「かたい物は与えない」が鉄則!
単純歯冠破折の予防には、「日頃の習慣の見直し」が最も重要です。
飼い主さんにできる予防ポイント
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おもちゃ・おやつの硬さを見直す(鹿角や蹄は禁止)
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歯みがき(歯磨きガム)で日常的なケア(硬さ注意!!歯磨きガムで歯が折れることもあります)
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定期的に病院で口腔チェック(年1~2回が理想)
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ケージ噛みなどの問題行動の対処(環境調整・行動療法)
「この歯、折れてるかも?」と思ったら、お早めにご相談ください。
軽度なうちに対応することで、大切なわんちゃんねこちゃんの歯を守ることができます。
東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、歯でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。
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けいこくの森動物病院 世田谷犬猫歯科
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