歯牙硬組織の疾患 / 外部吸収とは

こんにちは!世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です🌳

今回は「外部吸収」という歯牙硬組織の疾患についてお話ししたいと思います!

 

外部吸収とは

歯の外側(主に歯根表面)から始まって歯の硬い組織(エナメル質、象牙質、セメント質)が破壊・吸収されていく現象です。

 

原因と発症機序

 

正常な吸収:乳歯が抜ける時

  • 乳歯が永久歯に生え替わる時には、自然に歯根が吸収されて抜ける。これは正常な生理現象です。

異常な吸収の原因(病的吸収)

慢性炎症による吸収

  • 歯の内部の感染(根管の病気)や、歯周病(歯茎の炎症)によって吸収が起きるます。

  • 特に歯根の先端や側面に起こりやすいです。

埋伏歯や腫瘍などによる圧迫

  • 埋まって出てこない歯や、膿のたまった袋(嚢胞)、腫瘍などが周囲の組織を圧迫して、歯根が吸収されます。

矯正治療や歯の再移植による外傷

  • 強すぎる矯正の力や、抜けた歯を戻す再移植によって歯周靱帯に傷がつくと、吸収が起きやすいです。

咬合力による歯の破折

  • 強い噛みしめや衝撃で歯がヒビや破折を起こすと、その部分から歯がどんどん吸収されることがあります。

  • 特に猫で多い「2型吸収病変」や「特発性吸収」はこのタイプです。

    ○ 猫の吸収病変(歯頸部吸収病変:FORL)

    • 特に高齢猫に多い

    • 歯の歯頸部(歯と歯茎の境目)に病変ができ、やがて歯冠が崩壊

    • 原因は完全には解明されていないが、炎症や免疫反応が関与すると考えられています

矯正治療における注意点

  • 成人の矯正治療では歯根吸収がよくある副作用

  • 特に力が強すぎると、歯周靱帯に炎症やダメージが起き、吸収を引き起こすリスクが高まります。

歯の歯根表面に外的または内的な刺激(例:歯周炎、外傷、矯正力など)が加わると、歯の周囲にあるセメント芽細胞(セメント質を作る細胞)や骨芽細胞のバランスが崩れます。

破骨細胞の活性化

破骨細胞(はこつさいぼう)とは、骨や歯の硬い組織を分解・吸収する細胞です。通常は骨代謝の調整に使われますが、炎症や損傷によって異常に活性化されると、

歯のセメント質・象牙質を溶かし始めます。

 

治療について

1. 原因の特定と除去が基本

  • 炎症や圧迫の原因をまず特定し、それに対する処置や除去を行うことが治療の基本です。

2. 歯内病変が原因の場合

  • 根管治療(歯の神経治療)または抜歯が必要です。

  • 無傷に見える歯でも、内部で進行している吸収により歯髄炎や歯髄壊死が起こることがあります。

 3. 嚢胞(のうほう)による吸収

  • 含歯性嚢胞(がんしせいのうほう)は、特に埋まっている第一前臼歯に多いです。

  • 歯根の形成不全や吸収を引き起こすが、嚢胞とその被膜を完全に切除すれば進行を防げます。

4. 腫瘍が原因の場合

  • 腫瘍による吸収では、腫瘍と一緒に罹患歯を外科的に切除する必要があります。

 

お口の中を健康な状態で保つためには定期的な歯科検診や歯石除去を行っていくことが大切ですが、1番はおうちでのケアです。

当院では1か月に1度歯磨き教室を開催しておりますので興味のある方は是非スタッフまでお声がけください🎶

東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、歯でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。

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けいこくの森動物病院  世田谷犬猫歯科

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