2025/06/07
こんにちは!世田谷区等々力のけいこくの森動物病院です。
今回は歯周病の進行した段階である「歯周炎」について詳しく紹介します。
歯周病自体は犬や猫の間で非常に多い病気のひとつです。特に3歳以上のワンちゃん・ネコちゃんの約80%が何らかの歯周病を抱えているといわれています。
この記事では、歯周病の進行した段階である歯周炎の症状・進行するとどうなるのか・治療法について、解説します。
歯周炎ってどんな状態?
歯周病は「歯の周りの組織(歯ぐき・歯槽骨など)に炎症が起きた状態」です。炎症が歯肉のみにとどまる軽度の状態は「歯肉炎」、それが進行して周囲の骨や歯周靱帯にも炎症が起こった状態が「歯周炎」と呼ばれます。
犬や猫は、人間のように自分で歯磨きをしないため、歯垢(しこう)や歯石(しせき)が溜まりやすく、そこに細菌が繁殖して炎症が起こります。
歯周炎の主な症状
歯周炎の症状は、軽度から重度までさまざまです。以下のようなサインが見られたら要注意です。
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口臭がきつくなった(悪臭)
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歯ぐきが赤く腫れている
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歯を触ると嫌がる、痛がる
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よだれが増えた
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食べづらそうにしている(片側でしか噛まないなど)
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歯がぐらついている、抜けた
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鼻水や目ヤニが出る(重度の場合、鼻や眼に影響)
特に「口臭」は、飼い主さんが最も気付きやすいサインです。「年のせいかな?」と思わず、ぜひご相談ください。
歯周炎を放置するとどうなる?
「歯の病気くらい…」と軽視してしまうのは危険です。歯周炎を放っておくと、次のような全身への悪影響が出ることがあります。
1. 顎の骨が溶ける(骨吸収)
炎症が進行すると、歯を支える顎の骨が溶けてしまいます。最悪の場合、顎の骨折を引き起こすこともあります。
2. 歯が自然に抜ける
歯を支える組織が破壊されることで、健康な歯が抜けてしまうことも珍しくありません。
3. 細菌が血液に乗って全身へ
口内の細菌が血液を通して体内に入り込み、心臓病・腎臓病・肝臓病などのリスクを高めることがあります。
歯周炎の治療について
歯石除去(スケーリング)
歯周炎が進行している場合、全身麻酔下での歯石除去が必要です。当院では、動物の状態をしっかり確認したうえで、安全に配慮した処置を行っています。
歯周外科
歯周炎が進行して歯石除去(スケーリング)だけでは改善が難しい場合、当院では「歯周外科処置」をご提案することがあります。
これは、歯の周囲にある炎症を起こした組織を外科的に除去し、歯周病の進行を食い止める治療です。
主な歯周外科処置の種類:
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フラップ手術(歯肉剥離掻爬術)
歯ぐきを一時的に開いて、歯の根元や深部に付着した歯石や感染組織を徹底的に除去します。手術後は歯ぐきを元に戻して縫合します。 -
抜歯処置
歯周病が進行して歯を支える骨がほとんどなくなっている場合は、痛みや感染の原因となる歯を抜くことが勧められます。抜歯後は、食べやすさや生活の質が改善することが多いです。 -
骨再生療法 ※一部のケースで適応
歯を支える骨が一部失われた場合、再生材料を使用して骨の再生を促す処置を行うこともあります。これは症例や条件によって適応が限られます。
処置はすべて「全身麻酔下」で行います
歯周外科処置は、痛みや恐怖心を避けるため、基本的に全身麻酔下で安全に行います。当院では事前に血液検査や心臓のチェックを行い、リスク管理を徹底しています。
歯周病は「治す」より「防ぐ」ことが大切!
歯周外科処置は有効な治療法ですが、やはり最も大切なのは予防です。重度になる前に、定期的な歯科検診とご家庭でのデンタルケアを習慣づけましょう。
東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、歯でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。
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けいこくの森動物病院世田谷犬猫歯科
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